王様の耳はロバの耳

言いたいけど言えないからここにうずめる

ハイステ “烏野、復活!” 感想メモ(ネタバレあり)





10月28日にハイステ東京公演初日を観てきたので感想メモ。



※記憶力と動体視力がないので妄想と思い込みと脳内補完で書いてます。全体的に現実とは違う可能性ある。すみません。


※ネタバレしかありません。ネタバレなしの感想はこちら



オープニング

もうオープニング始まる時の「くるぞ…くるぞ……」っていう気配からの音が鳴り始めた段階でドキドキしちゃってもう!!もう!!!!
まずイントロで「前作メインテーマのアレンジだ」ってわかったところで心の中でツッキー並みのガッツポーズしたし(好きだから)、そのアレンジが攻めてて本当に期待を裏切らない格好良さで心の中で膝バンバン叩いたし(好きだから)、キャラ紹介ももう縁下がジャンプ持ってるのとか前回の山口ツッキーのとこのセルフオマージュって感じで縁下さん握手してくださいって感じだし(持ってましたよね…?)、当のツッキー山口はちょっとマリオちっくなコミカルな動きになってて可愛いし、前回ノスタルジックな効果音だったのが今回お腹に響く重量感ある効果音になってるのすごい精神的進化を感じさせるから、ほんと前回のオープニングを踏切板にしてさらに跳んでる、大、躍、進、って感じで気分的にはここだけで帰ってもいい…ありがとうアイア……また会う日まで……ってくらい満足でした。
で、特に何が最高かって、今回高校名がでっかく映し出されるところですね。日向が影山が研磨が青根が、っていうより烏野バーサス音駒、烏野バーサス伊達工、烏野バーサス常波でいきますってスタンスがそこから伝わってくるし、「烏野高校」とか「青葉城西高校」って文字そのものに思い入れあるから字面が目に飛び込んできただけで理屈じゃなく鳥肌ブワッてなる。大量の台詞がガガガッと出てくる感じとかほんとカッコいいんだけど、ファンの作ったMADっぽくもあって愛を感じるんだよな…気合の入ったタイポグラフィいい……
そんでやっぱ最後に出てくる主人公2人は「トリ」としての安定感があってですね……
ネタバレなしのほうにも書いたんですけど、原作ハイキューに数多ある比喩表現と「舞台」という表現の場は物凄く相性が良いと思っていて、今回初っ端に出現していた「ゴミ捨て場」の舞台装置としてのしっくり感とかまさにそれだと思うんです。比喩がダイナミックでかつ叙情詩的だから舞台映えするんですよね。まだ出てきてないけど、山口の槍とかも考えただけで興奮します。
そんな中でも、やっぱり影山の「王様」ってモチーフは本当にかっこよくてズルいし、それを存分に利用して攻めてくる演出はすごい好き。影山の影が王様で影山がバサァ!とかさあ!(興奮)
そして大トリの日向ですけど、今回後ろが実際に開くのすごい効果的でしたよね…!そっから出てきてバク転とか、盛り上げるわー。っていうか、須賀さんがいなかったら演劇ハイキューってまた全然違うものになってたんじゃないかと思いますよね。存在感と、いい意味でのメジャー感。「常波を出さなきゃハイキューをやる意味ないです」と言える彼が座長でいてくれて良かったです……ってオープニングにして巡り合わせのありがたみみたいなの噛み締めてました。
OP前の「信じて飛べ!」のシーンといい、2人が主役として物語の四足歩行(?)の前足部分を担ってるからこそのこの立ち上がりだなぁと思ったので、ほんとこの超絶アンバランスコンビは永久不滅であってほしい………



永田崇人さん / 狐爪研磨

実は今回一番期待していて、めちゃくちゃその期待に応えてくれた人。
永田さん、やばいね…? まず須賀さんの日向とのサイズ感が丁度いい……カテコとかで周りが大きい中2人が並んでるのかわいい……
そして佇まいがすごく研磨くん。立ってる時の猫背な感じはもちろんなんですが、動いても動いても全然覇気を感じさせないんですよ。みんなと一緒に踊ったりしてて確かに運動量こなしてるのに、研磨くんのシルエットは力まないし疲れてる様子も見せない。ぽーーー、じーーーー、(擬態語)ってしてるんですよね。で、声も全然「張ってる」感じがしないのに、そのくせよく通る。ずっと脱力してて、この舞台の売りである「熱」を唯一、ぜったいに出さないんですよ(ただなんか平熱は高そう)。これすごくないですか!??人なのに!生身の人間なのに!!しかも結構キレよく踊ってるのに!力が抜けてる感じって、本当ならなかなか出すの難しいですよねー。どうしてもどこかしら凝り固まったりしそうなのに。
わりとシニカルな感じもよく出てて、なのに犬岡くんに話しかける時だけ言い方が優しくてちらっと先輩っぽいのも好き。
一番おおっと思ったのが影山の布団をひっぺがしたところで、きっとこの方、すごく肝の座った人ですよね…?たぶんこれ急なアドリブじゃなくて稽古の時からやってたんじゃないかと思うんですけど、やり始めたのがご本人だとしたら永田さんの感覚って演出のウォーリーさんのセンスにすごい近いんじゃないかってちょっと思いました、いや、私ウォーリーさんのこと何も知らないんですけど。
観客が相手を影山と見るにしても木村達成さんと見るにしても、彼があのタイミングで布団剥がして一番面白いのは間違いなく影山ですよね。影山のほうもリアクション正解ですごい良かった。
アニメージュの対談では「木村さんにちょっと人見知りしています」「怖いです」っておっしゃってましたけど、それを言っても大丈夫だと見抜いてる感じ、ご本人の人懐っこさと研磨の人見知りは表裏一体で、ある意味根底通じてるっぽくていいな〜と思いました。



音駒メンバー

黒尾さんの厨二耽美な言動、クロ本人が面白がってやってると考えると急に中村悠一みが出てきてめっちゃ推せる。その一方で締めるとこは締めるキャプテンらしさはきちんと残ってるからすごい安心感ありました。回想シーンの人形とかなにハッチポッチステーション?って感じなんだけど、黒尾さん自身の「どこまで本気かわからない」雰囲気とうまく合ってるから成立してるんだよなー。「ふざけてる」んじゃなくて「HAHAHAイッツジョーク」って感じがするというか。黒尾さんの厨二と主将のバランス感が今回の舞台の綱渡り感そのものだったと思うし、一人時間差のとこの見てる側が色んな意味で半笑いになる感じホントいいからもっともっと突き詰めてほしい。
猛虎さん、今回の舞台からの参加なのにちゃんと輩感で田中さんと渡り合ってたの盛大に拍手したい。犬岡くん、犬感すごくて癒される……。海さん、海さん感すごくて癒される……。このお二人は今回のハイステの良心。夜久さん、ダンスのキレが「恐いっスねェ」ってめっちゃ言いそうなキレでちょっと自分でも何言ってるかわかんないんですけどやっぱり役として語る手段は台詞だけじゃないんだなって思いますね。福永さんのアクロバットは音駒のインパクトを決定的なものにする打ち上げ花火。見た目が派手な技はそれだけで会場を盛り上げてくれますね。まさに値千金。
音駒はチームとして動きにも演技にもまとまりがあったし、前作を経ている烏野チームに「勝つ」だけの説得力があった。台詞で「しなやか」という言葉が出てこなくても観客の大多数が「しなやか」と評するんじゃないかと思えるくらい、的を射た振付と体現力でした。



合宿シーン

あの布団の入れ替わりはほんと最高でしたね。あれ誰が考えたんだろう…!ちょっとドリフ的な場面転換でもあり、観客とお約束を取り付けた瞬間でもあり、空間と時間の両方を捻じ曲げて最短距離にする工夫でもあり。ああいうシンプルな「驚き」ってライブ感を引き立ててくれますよねーーー。



音駒戦シーン

音楽のピコピコ感、鬼に金棒な影山のドット絵、音駒の「にゃー」ってやるポーズとかは別に実際に原作本編に描かれてるわけじゃないんですよね。
研磨の「ゲーム」や音駒の「ねこ」というモチーフ、あとはコミックスのおまけ絵(鬼に金棒)やカラー絵で描かれていたものだったりが積み重なって生成されてるイメージだと思うので、それがまた演技やダンス、映像、照明、音響に分化して複合的に具現化されてるのはほんと演劇のスタッフワーク総動員って感じでめっちゃ感動しました。


もうひとつ印象的だったのは、音楽が試合中の日向と影山の物語を際立たせようとしていなかったところ。この辺のスタンスが前作と全然違うなと思いました。「日向の速攻がとめられる」からの「ふわっ…」って結構な大事件なのでもっともっと煽る音楽にできたと思うんですけど、そこをあえて重低音響かせるだけにしたりとか前後と曲調をそこまで変えなかったりでドラマチックにしてこなかったの、かなり驚きました。「主役として持ち上げないんだな」、と。いやもちろん日向も影山も周りよりフィーチャーされてはいるんですけど、あくまでゲームの流れの中でという感じで、ここらへんがOPで高校名出してくる意図とも繋がってくるのかな〜。
(書きながらゲネプロチラ見せ動画見てたら、結構盛り上がってたっぽいので記憶違いかもしれません…)



新井將さん / 青根高伸

正直なところ、最初に「ロックオン」って言い出した時は「ち が う」と思いました。青根さんは!!!声に出してロックオンとか言ったりし な い!!!ただ、そこから先、ラップバトルや日向との握手、ラストまで含め、新井さんは演劇というジャンルにおいて最高の青根さんを演じてくれたと思っています。会見のコメントからご本人も観客に受け入れられるか不安だったのではと感じましたが、それをおくびにも出さず、全力で、本意気で、迷いなく演じ切ってくれて、見ててちょっと泣きそうになりました。新井さん、思いっきりやるの怖かったんじゃないかなあ。そんなことないかなぁ。そんな弱い人じゃないか。全然知らないけど。だってラップだよ?ラップなんか原作の青根さんやるわけないじゃん。それを観客の前で胸張ってやるのは、人によっては、怖いよ。この舞台は青根さんの度胸にかかってたと思うなぁ。心から「良かったです!!!」って言いたい。



伊達工メンバー

二口さん笑っちゃうくらい二口さんですごい、好き……。あのなんかちょっとだけ上半身ムチっとした感じとか、微妙に舌巻く喋り方とか、いわゆるギャグシーンの時のアニメでしか見たことないようなコミカルな動作とか。その反対側の振り幅で二口くんの後悔の重さもきちっと表現してくれたところ、技量が違うなと思いました。こういう方が職場に一人いてくれると頼もしい。
作並さん、今回私の心に一番グッときたシルエットでしたね……かわいいしめっちゃリベロ……レシーブきれい……。茂庭さん、鎌先さん、笹谷さんのお三方の伊達工感すごくないですか?伊達工がなにやっても伊達工っぽさを保ってたの、この方々の存在感あってこそな気がします。絵面がっょぃ。伊達工の動きって今までのハイステの試合シーンとは少し違う作業も入ってたと思うんですけど、今回のキャストさんたちがその実現を成功させてくれたことでさらに今後の展望もひらけましたよね。



伊達工戦シーン

伊達工が歌い出したときの「やられた」感半端なかったです。思い返せば、ドキュメンタリーDVDで音楽の和田俊輔さん(天才)が「もともとメインテーマは歌にしようという話になってた、歌一回も提出しませんでしたけど。」とおっしゃってたので、そのエピソード踏まえたらいつ誰が歌い出してもおかしくなかったんですよね。歌わないなんて言ってないし。
伊達工の「鉄壁」、重量感、強豪感を表現するのに人の声を使うっていうのはほんとなるほどなーーと思いました。なんか屈強な戦士みたいでしたね。
個人的にそっからさらにラップいっちゃうっていうのもその演出自体は全然違和感なかったので(「青根さんが」という点は強烈でしたが)、どうやら賛否両論あるっぽい気配を今更ながらに察知して「ああ、そうだよね……」と。私はノー天気に「おお、すげーな」という感じだったのですが。
というのも、原作の伊達工戦は他の試合に比べて台詞的には「静か」な印象があったので(青根さんのモノローグがないからかも)、この試合が舞台の最後に来てしまう構成は下手したら盛り上がりに欠けるんじゃないか、と思っていたんです。しかも烏野側も旭さんのトラウマが中心なので、前作とちょっと似ちゃってるんですよね。原作として物語が続いていく分には問題ないのですが、舞台として2時間半に区切ったからこその難しさで、旭さんがトラウマを乗り越えるところで普通にメインテーマかけちゃったら「またかよ」ってなるし、かといって伊達工側のドラマチックなモノローグもそんなに多くないし(茂庭さんの「一回倒したスパイカー一人止めらんなくて」はめっちゃかっこよかったですね)。
なので、その課題を声出し、歌、挙げ句の果てにラップバトルなんていう無茶苦茶力技な盛り上げ方でクリアしたの心底感服しました。
ただ、ミラーボールだけは「ミラーボールwww」ってなりましたけどね。私、わりとなんでも受け入れちゃうんですけどミラーボールだけは「ミラーボールwwwwww」ってそらなりますよ。光がこちらにもくるせいで舞台上に限定されていた空間が客席まで拡がるっていうまさに鉄壁を壊した向こう側疑似体験みたいな絶大な効果があるんですけど、それを上回るミラーボールという存在のフィーバー感がすごすぎて、スガさんが見たい光ってそんなイケイケなやつなの……って思いましたし、でもそういうなんでもありみたいなのはほんと好きです。劇団ハイキューだけあってさすがの雑食性。舞台に制約なんてないからなぁ。なんかミラーボールのこと考えてたらどんどん記憶薄れてきて自信なくなってきたんですけど、あれ?伊達工、歌ってましたよね…?


そういえばミラーボールに気を取られて忘れてましたけど、伊達工の「鉄壁」を物理的に小道具として出してきたのも結構衝撃的でした。前作も羽根があったので流れでいうと不思議ではないんですけど。なんか、しつこいようですけど比喩を具現化するんだなあって。たとえばペダステは役者さんの表現力や観客の想像力を信頼して極力削っている気がするので、ハイステが逆にどんどん物理的視覚的に表現する方向へ進んでるのとても興味深いです。こっちにあるのは別に役者や観客への不信ではなくて、「出 た !!」っていう驚きと快感かなぁ。いややっぱ原作の世界観かな。それぞれの原作の空気にふさわしい舞台化ですよね。
話が逸れるんですが、烏野や音駒、伊達工に比べると青葉城西って比喩描写やチームを象徴するようなアイテムがほとんどない気がするんですよね。だから前作で青葉城西側の「イメージ」の具現化みたいなのもなかったのかもなぁと。今回のオープニングの及川さん・岩ちゃん組のイメージも青葉城西というより「阿吽の呼吸」でしたし。動物や言葉遊びのモチーフもないんですよね。オーケストラや大王様もチームを表現しきれてはいない気がするので、じゃあ青葉城西の象徴は何かっていうと、たぶん及川さんそのものなんですよ。彼の存在こそが青葉城西のシンボルなので、ハイステが次の青葉城西戦をどう仕上げるのかは物凄く興味があります。(あればの話…あってほしいなー)



常波戦シーン

常波については勢い余ってネタバレなしの方でつらつら書いてしまった…。池尻さん、すごい良いですよね……。ライビュでどうなってるのか一番楽しみなキャラクター、役者さんです。



バレーボールやってたよ

ここと、あと32敗のところは原作の流れでカットされてた時点でどちらかがラストに来るんだろうなーと思ってたんですけど、まさかの両方だった。最後に複数のシーンを再構成して寄せたことで二時間半の物語としての座りが格段に良くなって、安定と信頼の脚本力…って思ってたんですけど、それ以上に胸が高鳴ったのは、池尻さんや二口くんたちが後悔を口にするシーンで烏養さんがいたことですね。ここに烏養さんを配置するって、烏養さんに後悔を語らせるって、すごいなって。ハイキューの表面だけなぞってたら絶対出てこない発想だと思いました。



お前がコートに君臨する王様なら

録音と生声の輪唱ってめっちゃアツい。初演がリアルに一年前なんですよね。「なぞる」行為、好きです。
さっきも書きましたが今回、日向と影山が前足とラストの後ろ足となってしっかり立っているからこその物語の座りの良さなので、周りに呑まれることなく無闇矢鱈に周りを呑むこともなく、立つべきところで立ってくれているのが本当にありがたいです。
やりようによっては「主役なのにパッとしなかったね」みたいなこと言われる危険性もある立ち位置に回されたなかで、それでも「引く」ことができる須賀さんは流石だし、木村さんはなんていうか健気だな、と思いました。



木村達成さん / 影山飛雄

まず最初に書いておかなきゃいけないと思うのは、「私の中の影山と木村さんの影山は完全に袂を分かっている気がする」という点です。(悪い意味ではないんですが気分を害された方がいらしたらすみません…!!)
勝気な見た目、ガッツポーズとかの動き、アニメ版にも近い地声、イントネーション、そういう外郭は完璧なんです。影山まじ影山。でも、中身がなんか違う。なんとなくがなる頻度が高いなと思ったのと、あと、降って湧く表情が柔和。そしてこれこそが多分私が今回ハイステを見て良かったと心底思わされた点のようなので、その件について全く文句はないですね……ええ……
わかりやすく「違うな」と感じたのは、原作では「………んぬん………」って言ってたのに舞台では月島に食って掛かってたところと、原作では試合後の研磨くんに声掛けられなくて文字背負ってたのに、舞台では「セッター…」ってわりと朗らかに話しかけたところです。
特に後者はこれこそプロジェクションマッピングタイポグラフィの無駄遣いができるのではと思ったのでちょっと残念。ただ、このシーンの影山は、人としてものすごいリアルなんですよね……!!
最初研磨くんに話しかけようとして逃げられちゃって、そのあとわいわいやってるそれぞれのグループにふらふら寄ってくんですけど、全部輪に入れなくてなんとなく所在無さげにうろうろしてるんですよ。なんか、そういう人よくいるじゃないですか。ハブられてるわけでもないのになんとなく集団で浮いちゃうというか。その感じがリアルで刺さったし、さらにすごいなと思ったのが影山自身が全然それを気にしてない顔してるんですよね。むしろちょっと嬉しそうな雰囲気すらあって、はたから見たらすごいぼっちなのに本人はチームの中にいる感触を味わってるんですよ。これ、布団のシーンでも似たような顔してて、この空気がめっちゃ影山だなって!!影山じゃないんだけどめっちゃ影山だなって!!!それで挙げ句の果てに空気読まずに朗らかに話しかけてスガさんに「タイミング」って言われるんですけど、原作の影山は絶対あんなふわっと研磨くんに話しかけたりしないのに、突っ込まれても「え、そうなんすか」みたいなあの表情、現実に影山みたいな人がいたら実際こんな感じかもしれないって思いました。バレー、好きなんだなって。びびりますよね。そんなセリフ一言も言ってないのに、この人バレーバカなんだなーってしみじみ思いました。



青根さんや前作の縁下さんは、嫌な言い方をすると演劇としての面白さの犠牲になったキャラクターだと思っていて、ただそれが悪いことかというと必ずしもそうではなく、「『ハイキュー!!』の世界観を『演劇』で表現するなら、これがベストだ」と感じる選択だったと思います。でもこれが推しキャラクターであってもそう言えるのか?というとなかなか難しくて、やっぱり推しの推しどころが消滅してたら悲しいよなと…。
そんなことをつらつら考える中で今回木村さんの影山を見て思ったのは、何よりまず「見た目が大前提」なのかもしれないなあと。キャラクターのアイデンティティとしての「外見」が少しでも改変されて似ていなかったら、影山の演技も青根さんも縁下さんも受け入れられなかったような気がします。逆にいうと影山はあまりにもぱっと見影山なので(その状態を役者さんが作りこんでくれているので)、少し内面を追求したりしても見た目が守ってくれるというか。それでこの「内面追求」や演出のための改変こそが、原作に忠実にやっていたら起こり得なかった原作へのフィードバックまで発生させているわけで(パンフ参照)、なんていうか2.5次元って奥が深いですね……。「せっかくハイキューをやるなら」と「せっかく演劇でやるなら」のせめぎ合いと、その相互作用。


あと今回の演劇的演出といえば影山のトスですけど、相変わらずのハイスペックで「研磨くんとは対照的に一見してなんかすごいことやってる」っていうのが綺麗に表現されてたのでワクワクっとしたし、ちょっと魔法少女みたいで木村さんの身体表現からたまに発出される非日常性ってとても面白いなと思いました。


音駒が潔子さんを指差してるのに対して照れる女の子っぽい動きをするおちゃめな影山、とか原作では絶対ないですけどめっかわでしたね、舞台サイコーです。



堕ちた強豪 飛べない烏

このシーンのこともネタバレなしの方にちょっと書いたんですけど、とにかく、これを伊達工戦最後に入れてきたことに感動しました。「やってたよ」をラストに持っていくとかは脚本の技術だと思うんですけど、この異名を烏野全員のトラウマとしてここに埋め込むっていうのは単純にセンスだよねと思って!!!技術的にはなくてもいいんですよ。なくてもいいのにここにあるっていうのがほんと素晴らしくて。このトラウマ描写、前作の影山と同じく演劇的な拡大解釈がなされていると思うんです。だからこそ原作にはない気づきがあって、そこに劇団ハイキューの存在意義がある。これを全身で体現する烏野メンバーこそが、ここでしか見られない彼らの価値を生んでるんです。






書いても書いても終わらないので烏野メンバーについての感想は一旦省略しますが、一瞬でも同じところにいないようにするための創意工夫、登り続けるための努力、舞台で動き続けるためのモチベーション、そんなふうに「足を止めない」ことが現実世界でできるんだな、それこそハイキューっぽい世界だな、と思った新作公演でした。
進化し続ける烏野チーム………最高ですよね………ほんと……