王様の耳はロバの耳

言いたいけど言えないからここにうずめる

『光る君へ』振り返れば奴(はんにゃ.金田)がいる話

『光る君へ』を観ています。
とても面白いのですが、ひとつ気になることがあります。


「またはんにゃの金田が出てる…!」









(敬称略)






私はお笑いのことは詳しくないので、はんにゃの金田さんといえば「ズクダンズンブングンゲームの人」ということくらいしか知りません。
なにしろ今「ズクなんとかゲーム」の正式名称を調べようとして初めて「はんにゃ」が「はんにゃ.」に改名していたことを知ったくらいです。



ところがここ数年、私が見るものにやたらはんにゃ.の金田さんが出てくるのです。



こちらをご覧ください。
表1 私の好きな俳優さん一覧

お名前 主な活躍ジャンル
岡田准一さん 映画
木村達成さん 舞台・ミュージカル



上記の通り、私は俳優の岡田准一さんと木村達成さんが好きです。


ここ数年は自分の時間を作ることが難しいため、基本的にこのお二人のどちらかが出ている作品を優先して観ていました。
お二人は主な活躍ジャンルが違うので作品が重複することはありません。



ところが、です。



表2 木村達成さん出演作(2021年下半期〜)

タイトル 時期 金田さん
ミュージカル『ジャック・ザ・リッパー 2021
舞台『SLAPSTICKS』 2021 いる
映画『お茶をつぐ』 2022
ドラマ『卒業タイムリミット』 2022
ミュージカル『四月は君の嘘 2022
ドラマ『オールドファッションカップケーキ』 2022
舞台『血の婚礼』 2022
舞台『管理人』 2022
ミュージカル『マチルダ 2023
舞台『新ハムレット 2023
ミュージカル『スリル・ミー』 2023
ドラマ『光る君へ』 2024 いる


表3 岡田准一さん出演作(2021年下半期〜)

タイトル 時期 金田さん
映画『燃えよ剣 2021 いる
映画『ヘルドッグス』 2022 いる
映画『人生クライマー』 2022
ドラマ『どうする家康』 2023
映画『最後まで行く』 2023
映画『BAD LANDS』 2023



なぜか、主な活躍ジャンル:お笑いであるはずの金田さんが、私の推し二人の世界を股にかけて活躍しているのです。


木村達成さんの場合は2/12=1/6の確率、
岡田准一さんに至っては2/6=1/3の確率です。
そんなに大した確率じゃないと思われるかもしれません。
では試しに、ここ数年ミュージカル界と映画界の両方で活躍されている吉原光夫さんが、どのくらいの頻度で推し二人と共演なさっているかを見てみましょう。



表2 木村達成さん出演作(2021年下半期〜)_吉原さん追加ver.

タイトル 時期 金田さん 吉原さん
ミュージカル『ジャック・ザ・リッパー 2021
舞台『SLAPSTICKS』 2021 いる
映画『お茶をつぐ』 2022
ドラマ『卒業タイムリミット』 2022
ミュージカル『四月は君の嘘 2022
ドラマ『オールドファッションカップケーキ』 2022
舞台『血の婚礼』 2022
舞台『管理人』 2022
ミュージカル『マチルダ 2023
舞台『新ハムレット 2023
ミュージカル『スリル・ミー』 2023
ドラマ『光る君へ』 2024 いる



なんと同じ界隈で活躍されている木村達成さんと吉原光夫さんは、ここ3年間では一度も共演したことがないのです。
ちなみに私の記憶が確かならば同期間で一番共演が多かったのは2回の田代万里生さん(ミュージカル『ジャック・ザ・リッパー』、ミュージカル『マチルダ』)で、金田さんの共演回数は田代さんとトップタイということになります。



それでは岡田准一さんの場合を見てみましょう。



表3 岡田准一さん出演作(2021年下半期〜)_吉原さん追加ver.

タイトル 時期 金田さん 吉原さん
映画『燃えよ剣 2021 いる いる
映画『ヘルドッグス』 2022 いる いる
映画『人生クライマー』 2022
ドラマ『どうする家康』 2023 いる
映画『最後まで行く』 2023
映画『BAD LANDS』 2023 いる









多っ



すみません、岡田准一さんにおいては吉原光夫さんのほうがさらに多く共演されていました。
4/6=2/3の確率です。すご
ですが、先程の木村さんと吉原さんのように同じ界隈でも共演がしばらくないこともあると考えると、違う界隈同士で複数回共演があるというのは結構珍しい気がする、という気持ちはわかっていただけますでしょうか……


ただ、これはもしかして金田さんが俳優としてものすごく活躍されていて、一年に10本とか20本とかたくさんの作品に出ているから起こることなのかな!?金田さんの出演作の割合的には大したことないのかな!?と思い、それも調べてみました。



表4 金田哲さん出演作(2021年下半期〜)

タイトル 時期 推し
映画『燃えよ剣 2021 いる
舞台『SLAPSTICKS』 2021 いる
ドラマ『正直不動産』 2022
ドラマ『チェイサーゲーム』 2022
映画『ヘルドッグス』 2022 いる
ドラマ『チェイサーゲームW』 2024
ドラマ『光る君へ』 2024 いる




そんな本数出てなかった



4/7=0.571



打率、高




なんと金田さんはここ3年で出演した作品の半分以上で私の好きな俳優さんと共演していたのでした。いいなぁ
私は金田さんの間接共演のおかげで「岡田准一さんと木村達成さんが同じ世界線に存在している」ということを間接的に知りました。ありがとうございます。


そして、出演作を意図せずして半分以上履修してしまったので言いますが、金田さんの作品内での佇まいにはものすごく味がある気がします。


「え!?あの人金田!?全然わかんなかった!」
というタイプの役者さんではありません。
むしろ見ればすぐわかります。遠くからでもわかります。
でも、「何を演じても金田」と言うには忍びない、言うなれば「その世界線の金田」なのです。



出会いから説明させてください。


⚫︎ 舞台『SLAPSTICKS』(2021)

金田さんのお芝居を初めて観たのはこの作品でした。


金田哲さんは、ロスコー・アーバックル役でキャスティングされていました。
最初キャスティングが発表された時、あまりにも意外な配役だったので驚きました。なぜならこの役は、かつて実在した「Fatty」(太っちょ)の愛称を持つ喜劇俳優だったからです。
金田さんに恰幅のいいイメージはなかったので、そんな彼をこの役に持ってきたということはキャスティングした方は金田さんが役にハマるかどうかによっぽど自信があるんだろうなあ〜と思ったのを覚えています。




結果、これが本当に良くて。
ロスコー・アーバックルは、女優への性加害で起訴され、のちに証拠不十分により無罪となった人物です。2003年に上演された際は古田新太さんがこの役を演じ、DVDで見る限りではどちらかというと人が良さそうな印象を受ける人物像となっていました。
しかし、令和の今、この作品をやるならば、価値観のアップデートが必要で。
金田さんのアーバックルはやや淡白で、この作品が一方的なアーバックルへの擁護のみにならないように留意されていると、観ていて感じました。
その点に自覚的であった演出家の方もすごいのですが、演じていた金田さんのバランス感覚もすごかった。台詞の言い方ひとつ間違えば、性被害を軽く扱っているふうになってしまったと思うのです。でもそうならなかったおかげで、私は、逆に「どうせそんな感じになるんだろう」とどこかで諦めて予防線のようなものを張ってしまっていたことに気付かされました。
飄々とした口跡が心地良く、好きなお芝居をされる方だな、と、この時思いました。


⚫︎ 映画『燃えよ剣』(2021)

『SLAPSTICKS』の上演より前に公開されていたのですが、私が観たのは2022年に入ってからでした。
そこでまた金田さんに出会うことになります。
今度は新選組八番隊組長・藤堂平助役でした。

今回の見所はなんといっても岡田准一さん演じる土方歳三との斬り合いです。剣道の経験があるそうで、これがまたかっこいいんですよね……しかも岡田さんと作品内で兵刃を交えた役者さんってそこまで多くない気がするんですよ……私の中では西島秀俊金田哲みたいになっています。


⚫︎ 映画『ヘルドッグス』(2022)

出てきて「またアンタかっ!!」と思いました。
今度はインテリヤクザの役でした。

岡田准一さん(兼高)&坂口健太郎さん(室岡)より偉い(多分)のが刺さる。しかも室岡とのアクションがあったりしてめっちゃいい役。刺さる人にはめちゃくちゃ刺さる。この映画、配役が本当に完璧なので見てください。でもほぼずっとバイオレンスなので苦手な方は見ないでください。


⚫︎ ドラマ『光る君へ』(2024)

ご存知、藤原斉信役です。

「誰が見ても金田」なのにどの世界観にもめちゃくちゃ染まり馴染んでいるのがすごい。
作品を色々見ているうちに、「この人、みんなでタイムスリップしたのに一人だけ失敗して時空を彷徨ってる人なのでは…?」と思えてきました。
そしてどの時空でもそれなりの地位に上り詰めてるのが面白い。


キャスト発表時のコメントを見ると、


藤原斉信紫式部の上司であり、清少納言好みの貴公子。そして花形の近衛中将で人気者。さらには若いころから切れ者道長の側近として政治、文化面を支えたのちに「一条朝の四納言」の1人まで登り詰めたスーパーエリートボーイという印象です。震えております。身が引き締まる思いであります。しかし気負わず自分の中にある気品、華、インテリジェンスを総動員して約1000年前の京都に行って参りたいと思います。
金田哲、『光る君へ』で大河ドラマ初出演 “スーパーエリートボーイ”藤原斉信役に|Real Sound|リアルサウンド 映画部より)


>自分の中にある気品、華、インテリジェンスを総動員して


ここはお笑い芸人ならではのツッコミ待ちだと思うんですが、個人的には「いやもうほんとそれ」と思ってます。自分で自分のボケを殺している。飄々と気品、華、インテリジェンスを漂わせながらひとり時をかける金田。どの世界線でもそれなりに上手くやってる金田。ききょうさんと仲良しになるのもなんとなくわかる金田。


⚫︎ ドラマ『チェイサーゲーム』(2022)

なせが推しが出ていない作品まで見始めた。
今回はパワハラプロデューサーです。

またそれなりの地位に上り詰めている。
プロジェクトに「いるいる」な人物だったので「なんで勤務時間外にまでこんな思いをしなきゃいけないんだ」と思いました。


⚫︎ おまけ1:YouTube

ついに個人チャンネルにまで手を出した。

良かった、現実(はんにゃ.金田)世界線に戻って来られた!
そして刺さる人には刺さる眼鏡と前髪。


⚫︎ おまけ2:ドコモのCM

今をときめく河合優実さんと共演…だと…!?

刺さる人には刺さる眼鏡とマスター衣装。
わかる方はわかってくださると思うのですが、金田さんはどの世界線に行っても金田性が高いのです。そうとしか言いようがない。その金田性が、刺さる人には刺さる何かを生み出しているのです。なんだよ金田性って。



どんな世界線でも適応してしまう、時をかける金田(さん)。次はどんな時代にタイムスリップするのか気になるところです。



そして、そろそろ私の好きな俳優さんである木村達成さんが『光る君へ』に登場するので、金田さん演じる藤原斉信と少しでも絡みがあるのか、ないのか、今から楽しみです。