王様の耳はロバの耳

言いたいけど言えないからここにうずめる

実写版『弱虫ペダル』は2.5次元ドラマの先駆けとなれるのか

誰に何を聞いてるのかわからないけど聞かずにはいられない。
たいした話じゃないんですが、そろそろ出てきてもいいと思うんですよ…2.5次元ドラマのデファクトスタンダード的な何かが…。

少年漫画原作、スポーツもの、舞台キャストときて真っ先に思い浮かんだのが実写映画『テニスの王子様』。早いものであれから10年、私たちはもうあの「あ…」から立ち直ってもいい頃だと思うのです。



昨今の実写化事情を見るとリベンジは難しいように思われますが、個人的にはこのクレジットで俄然期待が高まっています。

制作協力:ドリマックス・テレビジョン
制作:東宝映像事業部
製作:スカパー!

このドラマの放送はスカパーでありスポンサーCMがない、ということは大人の事情に拘わず衣装やロードバイクを用意できる(かもしれない)。しかも一般的にはまだ知名度の低いキャスト陣なのできっと大手事務所の意向を無理に汲む必要もない、つまりある程度は制作サイドの裁量で原作を尊重することができる(と思いたい)。予算は潤沢ではないかもしれないけれど、東宝映像事業部がついている。『弱虫ペダル』の舞台・アニメはもちろん、『ハイキュー‼︎』やODSなどコア層向けコンテンツを支えてきた東宝のバランス感覚があるんです(と信じたい)。
これはメインストリームでないからこその恵まれた環境です。「原作に忠実すぎて2.5次元な実写化」に心置きなくチャレンジできる環境が整っているんですよ!!!だからこそキャストもペダステの俳優さんを集めることができたのではないかと思うのです。その上で、監督は数々の地上波ドラマを制作しているドリマックスの方であり、作品に一定の大衆性が保証されているということがまた非常に大きい。「チャレンジしすぎて失敗したマイナー作品」にはならずにすむことが予想されるからです。
(個人的にはメインストリームでの漫画実写化であれば、原作に忠実な作品なんてまず無理なんだろうなぁと思っています。民放のドラマや大手配給会社の大作映画はきっとステークホルダーが多すぎて色々難しいのです。。一部上場企業とベンチャー企業みたいなもので、求められるものが違うのでしょう…)
あー、脚本はさぁ、ちゃんと作ってくれるよきっと…。頼みますほんと…。そこは2.5次元かどうか以前の問題。


漫画の実写化作品といえば原作とは別物でお馴染みですが、とはいえ成功している作品も数多くあります。ではその中で2.5次元と言えるものがどれだけあったでしょうか。
2.5次元の定義ってなんだっけって思いましたがここでは勝手に、原作の登場人物を「キャラクター」のまま実写化している作品のことを映画も含めて2.5次元ドラマと呼ぶことにします。
「キャラクター」から「人」に変換している作品は、単純に3次元での実写化です。特殊能力の出てこない少女漫画を原作とした作品に多いですね。または人間を描こうとする大衆向けの娯楽作品。これらの作品は人格としてのキャラを立たせるために文脈を使います。
そこからさらに「キャラクター」にまで押し上げるには誇張や簡略化が必要になるんですが、これが現実世界のルールによって制限されてしまう、だから2.5次元ドラマは難しい。



そう、個人的に感じている2.5次元ドラマの一番の課題は「漫画独特の表現と現実の落とし所をどこに設定するか」です。髪の毛の色しかり、特殊能力しかり。現実に寄せすぎるとそれはもう2.5次元ではなくなってしまう(もっと言うと愛するキャラクターのアイデンティティが失われてしまう)し、かといって漫画そのままにしてしまうと背景の現実世界から「確実に浮く」。最悪の場合、画面の向こうとこちらとの間に存在する何か大切な前提条件を共有できないまま、ただ単に見てるこっちが恥ずかしくなる作品、原作ファンにとっては次元の壁に激突しただけの作品となってしまいます。
そんな悲しい事故が起こらないように、日常が崩壊しないよう表面張力的な何かを保ちつつ可能な限り漫画に寄せる、これが2.5次元ドラマの使命なのです。



ちなみに日常的な現代社会を舞台にしない作品であれば2.5次元という意味でのハードルはもう少し下がって、成功例は実写版『セーラームーン』だと思っているのですが、これはどちらかというと特撮物のノウハウに基づいている気がするので今回の話からは除外します。でも破綻しない世界観を構築できるセンスがあるなら選択肢のひとつとしては大いにアリです。


では、現代ものの2.5次元ドラマにおける最適解はどこにあるのか。
大映ドラマ、僕たちのドラマシリーズ、月曜ドラマランド、土9、土8、テレ朝深夜ドラマ、藤原竜也さん…と色々漫画っぽい作品を思い返してみましたが。
多分、多分ですよ、個人的には上戸彩さん主演のエースをねらえ!じゃないかと思うわけです。それか、安達祐実さんのガラスの仮面。あそこがギリギリなんじゃないかって。内野聖陽さん、吉沢悠さん、野際陽子さんのあの見た目とオーラだけですべてを成立させてる感じ。全然高校生っぽくないけどそれはそれだよね、って有無を言わさず思わされるあの感じ。いつの間にかこっちが前提条件を飲まされてるんです。なんかあの雰囲気の中だとCG安っぽくても気にならなくなるんですよね。「これはこういうものなんだ」って納得できるドラマとしての臨界点。これを過ぎてココリコ田中さんの宗方コーチみたいになると、キャラクターの文脈に取り込まれてドラマとしては決壊してしまう(「コントなの?」「笑っていいの?」と戸惑ってしまう)。演じる俳優さんの強度にかなり依存するけど、あれが2.5次元ドラマの落とし所なんじゃないかって最近考えてます。
そういう意味だとこの両作品に出演して“お嬢様”というまさに漫画と現実の境目の存在を完璧に体現してた松本恵(松本莉緒)さんはまじで天才だった。今思えば彼女こそがプリンセスオブ2.5次元やったんや…。



弱虫ペダル』もああいう作りにしてほしいというわけではないんですが、せっかく2.5次元のなんたるかを知っている俳優さんたちが集結しているのだから、ドラマにおける2.5次元世界の開拓にもチャレンジしてほしいなぁ。
なんかカズレーザーさんを初めて見た時くらいの違和感にトーンが統一されていれば、キャラの外見はかなり漫画寄りにしてもいける気がするんですよね…会社行ってカズレーザーさんみたいな人が色違いでいっぱいいたら「自分が間違ってるかな?」って思いますね?自分は緑を着ないとねみたいな。現実にありえない話ではないんですよね。たぶん3日で慣れる。
実年齢との差異はあれだ、テレビでスポーツ選手見たときの「若いのに老成してるねぇ。え、年下?高校生?ほんまに?そうなんや…ってのと同じに思わせればいいんだ。年下っていうなら、まあ仕方ないし。よくあるよくある。
でもスパイダークライムとかは難しいのかなぁ。って思ったけど、「スパイダークライムやってみた」みたいな動画もあるし、おっ、案外いけんじゃね?ただ球技と違って道具が身体から離れないから余計に表現手段が限定されますね。
この辺のバランスやお約束事がノウハウとして確立されれば、平均品質も上がるかもしれないし見る側も心構えができて助かるんだけどなぁ。何より、2.5次元ドラマが充実すれば舞台から映像へのパイプが増えるし、映像経験を積む場所の選択肢も増えると思うんですよね。せっかくいい俳優さんが舞台でいっぱい育ってるんだから、もっと活躍の場があってもいいんじゃないかと。


別にこんな危ない橋を渡らなくても3次元でも全然良くて、そのカテゴリでいうなら理想は映画『ちはやふる』ですね。。。登場人物は「人」なんだけど、キャラクター性が残ってる。あだ名のせいかな。ていうかあれにPerfume掛け合わせた人天才ですよね…


少し話が逸れますが、私は名作を傑作たらしめるのは劇伴だと思ってるので、音楽も気になるところです。
良い劇伴には最初から耳につくもの毎話見てるうちに定着するものがあって、前者は最近だとドラマ『臨床犯罪学者 火村英生の推理』が好例です。こっちの場合、作品の世界観まで提示してくれるので初見の視聴者も入り込みやすい。(そういえば斎藤工さんの火村さんは原作とは違うけれどとても2.5次元だったな。。)
一方、アニメ『弱虫ペダル』の劇伴は後者だと思っています。最初はなんとなく耳にしていた輪郭の曖昧な音楽が、一定のパターンに基づいて繰り返し流されることによって出現条件=物語に紐付いてメロディを判別できるようになる。これってキャラクターが立ってくる過程にも似てますよね。(関係ないけどアイドルを好きになっていく過程にも似てる。)
物語と結びついて定着した音楽の力ってものすごく強くて、それが流されるべきシーンで流れてきただけで気分が高揚するし(「きたー!」ってやつですね)、なんならまったく関係ないところで聞いても物語が思い出されて感情がこみ上げてきたりする。その現象自体が一緒に過ごしてきた時間の積み重ねの証しだから、どうしても愛着が湧くんですよね。
何が言いたいかっていうと、その愛着の力をドラマでも発揮してもらえたら泣くな、って…。つまりアニメの劇伴をドラマでも共有するという方法。大抵のメディアミックス作品は実写化アニメ化それぞれまったく異なるとこが作るのでそんなの絶対無理なんですが、今回のクレジットならひょっとしてそんな夢みたいなことができるんじゃないのって思ってしまいました。ヒメヒメだけならできる…のかな?
劇伴が空回りすると作品そのものが安くなってしまってつらいんだけど、沢田さんの弱虫ペダルサントラは実写作品にも合う気がするんだよなぁ。


まぁなんだかんだ言って原作を踏みにじらない、できれば良さを伝えてくれるような作品になってくれたら充分なんですけど、そこは大丈夫ではないかと思っています。
なぜかって、ドラマの公式ツイッターで一番はじめにこう呟いてくれていたから。

原作に忠実ないいドラマにしていきたいと思います。

これって現場によっては色々と事情があって口に出すのも憚られるような、実直すぎる宣言なんですよね…。
どうか実現されますように。

木村達成さん出演作感想メモ


ものすごいうろ覚えなんですが、ちょうど一ヶ月くらい前、イベントでハロプロメンバーの子がこんなことを言っていたと聞きました。


「これから知った人たちを後悔させて、今まで好きでいてくれた人たちのことをもっと喜ばせたい」


これほんと真理だと思うし、まさに今私はテニミュについて深追いしなかったことを後悔しています。誰かのファンになる瞬間って、なんで今までこの存在に気がつかなかったんだって心底後悔するけど、そこから先の領域はほんとうにたのしい。


そんなわけで、演劇ハイキュー‼︎で木村達成さんのことを知り、周回遅れで出演作を見たので感想メモ。


ミュージカル・テニスの王子様2ndシーズン

海堂薫役の木村達成さん。「最初は上手くなかったんだ…!」というのが第一の感想です。はじめから結構こなせちゃうタイプの役者さんなのかと思っていたので、「成長してここまで来ていた」というのが驚きでしたね…。7代目の青学は噂に違わず歌もダンスもめきめき上達していってなんかもう痛快くらいの気分でした。生の現場で確変を目の当たりにした方たちは鳥肌モノだっただろうなぁ…
思うこといっぱいあるのでそのうち別のエントリーで書きたい。


ライブ・スペクタクル NARUTO

ナイスタイミングで再放送やってくれたので視聴。wowowさんグッジョブ。丸眼鏡のカブトさんかっこよすぎやしませんか…。影山と海堂見てて黒髪キャラだから違和感なくハマるのかなぁと思ってたけど、銀とか緑とか漫画色の髪でも似合うと知ってまじこの人次元がちげえよあこれが2.5次元かと思い知らされましたよね。
この段階でハイキュー日向役の須賀健太さんと一戦交えてたのが、もうホント少年漫画の伏線みたいでアツい。


ハイパープロジェクション演劇 ハイキュー‼︎

他のエントリーでも書いたけど、そこでは多少自重したのでここにも書く。
なんかもうさあ…ハイキューという作品が生まれたこの現代に、
もっというとハイキューという作品の舞台化が許され企画が動き出したそのタイミングに、
木村達成さんという俳優がテニミュで基礎を固めて世に出ていたという奇跡に感謝しましたよね…まさに、
“今、この位置、このタイミング、この角度で!!ドンピシャ!!!”
という感じだった。

で、何がすごいって

  1. 影山まじ影山

ってことに尽きるんですが、もうちょっと言うと

  1. 影山まじ影山
  2. 顔の造形が似ている
  3. 背格好が似ている
  4. 声と喋り方が(CV:石川界人
  5. 立ち姿が似ている
  6. 動作も似ている
  7. ボゲェの言い方が正解すぎる


ここまではわりと心構えできてた。受身取れてた。
でも、ここからは完全に想定外だった。


  1. 影山まじ影山
  2. 顔の造形が似ている
  3. 背格好が似ている
  4. 声と喋り方が(CV:石川界人
  5. 立ち姿が似ている
  6. 動作も似ている
  7. ボゲェの言い方が正解すぎる
  8. 発声が不安定じゃない
  9. 滑舌が悪くない
  10. 声を張っても耳障りじゃない
  11. 怒鳴ってもセリフが聞き取れる
  12. 棒読みじゃない
  13. 抑揚が過剰じゃない
  14. 一本調子にならない
  15. 感情が空回らない
  16. 変な間がない
  17. 表情が乏しくない
  18. 棒立ちじゃない
  19. 動きが鈍くない
  20. どんくさくない
  21. リズムに乗れなくない
  22. 決められた動作(ダンス、バレー)での身のこなしに違和感がない
  23. 木村達成さん本人は、別に普段から影山なわけではない。


減点方式っぽいのは仕様です。イケメンで背が高くてスタイルもよくて、演じるキャラクターに声も見た目もそっくりで、そこからさらに8〜22を兼ね備えている俳優さんがいるなんて夢にも思わないじゃないですか!!!びっくりだよ!!!え、まじで!?いいの!?そういうのずるくない!?!!!? 天が与えてくれるの一物までって習ったよ!!!

そんで最後の23番ですよね。素じゃないんですよね。演じてるんですよね。これ。素だったらまだ納得もいくんですよねそれはそれで別の意味で尊すぎて死人が出るけど。


ただもっとすごいと思ったのは2.5次元というジャンルですね。
上に書いたようなことは、俳優さんやキャラクターの名前を変えれば多分同じようなことを思っている人がたっくさんいるんだろうなぁと。その層の厚さに驚いている。いつの間にこんなに成熟してたんや…。今その最たるジャンルが刀剣乱舞だと思うのに、ゲームやってなくてその波に乗れないのが寂しい。


テニミュあれこれ(バクステ、チムコレ、ドリライなど)

山本一慶さんめちゃめちゃイケメンですね。
こういうのあるからグループってこわい。イジられ方とか昔の岡田君を彷彿とさせる…しかも舞台版弱虫ペダルで杉元役やってた人って認識してからは一慶さん見るたびに泣いてる。その公演見てないのに想像だけであああ、、、ってなってる。ペダステやばいな。。知ってたけど。。。
あとチムコレ見てて、私はハイキュー再演カテコの木村達成さんの挨拶の意味を取り違えてたな、と思った。「自分の体に嘘をつかない芝居をするということを自分の中のテーマにしていた」ってところ。私はこれを「自分の体が感じたことを芝居に反映させる、笑いたければ笑う」というような意味で受け取っていたんですが、きっと真逆で「苦しくもないのに苦しい芝居をしない、疲れているシーンなら本当に疲れていなければいけない」とかそういうことだったのかーと。それならやっぱり正解は中じゃなくて外にあるんですよね。リアクションではなくてアクションなんだなー。そりゃお腹もへりますわ。チムコレで言ってた「動きで感情が入る」とかの話は、感覚としてよくわからなくてすごく興味深い。そういえば私あまりこういうタイプの役者さんのファンになったことない。
バクステはコマだのけん玉だのアクロバットだの歌マネだの、謎のスペック畳み掛けてきてやばい。何がやばいってこれはこの人の本質じゃないんだろうなって感じさせるとこがやばい。副装備多すぎだろ…。
それでドリライなんですけど、2014年の小越勇輝さんのSAMURAIが私の中の男性ソロパフォーマンスランキングに食い込んでくるくらいかっこよかった…!ジャニーズともちょっと違う、なんだこの仕上がりは…!!ちなみに1位はジュリーの勝手にしやがれ


舞台 暁のヨナ

未見。ジェハは他の役とはかなり毛色が違うのでDVD楽しみにしています。


木村達成が飛んだ!〜秘境への旅〜

木村さんがフィリピンに一人旅をするという設定のDVD。
俳優さんのDVDによくある、見てるこっちがどうしたらいいかわからない無言のイメージカットがあるんですが、「意外と間、もつな」と思ったとこもいくつか。これが「絵になる」ということか…。茶髪にパーマなので、すごい少女漫画にありがちな金持ちのツンデレボンボンみたいな役が似合いそうだな〜とか思いながら見てると意外と時間早く過ぎる。
でもこのDVD、とっても無駄が多い。切符売り場の前でうろうろして虫にたかられるところか、濡れちゃった裾しぼってるところとか、撮れ高になってないとこ延々と流すから。わかりますか?最高ですよね?めっちゃ贅沢ですよね?自担のオチもなんにもない行動垂れ流してもらえるってありえないですよね??その他、下記のような「自担で見たいシチュエーション」満載です。

  • 現地の方とこなれた英語でコミュニケーションをとる自担
  • お酒と共に彩られた街のネオンに溶け込む自担
  • ビリヤードする自担
  • やたらと犬に遭遇する自担
  • 虫が嫌いな自担
  • ナイフとフォークを普通に使う自担
  • うまいじゃなくておいしいと言う自担
  • 現地の子供達と触れ合う自担
  • なんとなく小さな子供の扱いには慣れていなさそうな末っ子っぽい自担

他にも寝起きとかシャワーシーンとかもありますけど、個人的に一番おおと思ったのはしゃべる英語だけじゃなくて表情とかボディランゲージ的なのも板についてるところですね。妥協と諦めの滲んだ「オーケー(首を傾げる)」まじ最高です見てください。


ランチタイム終わりました

コント以上、ドラマ未満のワンシチュエーションコメディ。
メイキングのほうでグッときて自担で見たいリストに加えたのは「パワーポイントを知ってる自担」と「お箸を配る自担」ですね。ファミレスみたいなテーブルで皆がご飯食べ始める時にカトラリーケースからお箸を取り出して配ってたのは、何気ない光景だからこそ胸を打たれましたね…。リアルな後輩感ていうかね…。
本編は、くくり的にはTHE3名様とかに近いのかな?せとさんと山崎さんは安定感ある。木村さんはそんなに台詞も明確な役割もない。ただここで重要なのは、初めて映像作品を経験できたということと、もう一つおまけに映像でも妙な浮き方をしないということがわかったということですよね。「飛んだ」のナレーションやこの作品の映像での演技は未熟だし足りないところも多いけど、致命的な減点はない。それを事前にある程度把握できたのはとっても大きい。この作品に「初主演」とか冠つけてないところもそうなんだけど、木村達成さんは段階を踏んだ堅実な育てられ方をしていて、端から見るととても大事にされているなあと感じます。


ドラマ 弱虫ペダル

木村達成さん出演のニュースには諸手を挙げて喜びました。このキャスト変更はちょっと複雑だけど。
ドラマ版の今泉、私の中ですごいハードル上がってるのでどうなるのか期待してます。
それにしてもキャストの海堂薫率の高さよ…


ハイパープロジェクション演劇 ハイキュー‼︎ “頂の景色”

飛んだの特典メイキング見てからここに戻ってくると、影山の口調がすごくしっかりしていて新鮮。普段は声も高めだしその辺にいる大学生の喋り方なんですよね。。。このギャップ。。。
影山用の声を聞いてるとアニメ版の今泉の声にも寄せられそうな気がするけど、映像用の発声でもそういうのできるのかなぁ。木村さんの見た目や声、芝居のタイプや身体能力は舞台のほうが親和性が高いんじゃないかと思ってたけど、映像でも存在が過剰にならないことがわかったから、ドラマでのお芝居がどんなふうに仕上がるのかわくわくする。なんか、すごい。今までやったことのない未知の領域に踏み込んでいく人をリアルタイムで見られるって、久しぶりかもしれない。見届けたいなぁ。

V6のソロならコレでしょ

昨年の20周年記念コンサートから早くも半年。最近のV6は以前にも増して「外へ」、新しいフィールドへと意欲的に挑戦しているように感じます。
そんなわけで、彼らがいつどこで発見されてもいいように、V6メンバーに興味を持った方へおすすめしたい、V6メンバーのソロならコレでしょ、というパフォーマンスをメモしておきます。異論は認める、っていうか色んな人のおすすめを聞いて回りたい。

はじめに

2016年5月現在で映像化されているV6のコンサートの中から、メンバー毎におすすめしたいソロパフォーマンスを独断と偏見で選びました。岡田くん担のため、知識の偏りはご容赦ください。
カミコン・トニコンはまた別の思い入れがありすぎて話すと長くなるので、今回は除外しています。

候補一覧はこちら(敬称略)。

タイトルを並べただけですでにメンバーの個性が出ていて興味深い。特にカミセンがヤバイ
ズバッと端的な森田さん、対照的に言葉を尽くす三宅さん、なぜか日本語をカタカナにしたがる岡田さん。あとなんか長野さんは全体的にスケールがでかいというか、戦いに強そう。神か。


坂本昌行/Shelter(2005)

やっぱもうコレしかない。しょっぱなから王道すぎて迷ったけど、V6のソロを語る上でここを避けて通るわけにはいかない。坂本昌行といえばShelter、Shelterといえば坂本昌行一時期やりすぎて封印してた代物です。思ったより映像化されてなくて残念ですが、トニコンDVDにも収録されています(VERY HAPPY!!! disc2と2008、2009)。
この曲のポイントは「バックにつくメンバーがスゲー張り切る」という点。メンバーですらテンション上がるんだからファンがアガらないわけがない。本当にかっこいい。ロックな曲調、インパクトのある振付、坂本さんの歌唱力のすべてが合わさって生まれた奇跡のコンテンツです。「なぜか何度も見たくなる曲」というのはどのグループにもあると思うのですが、これはその類で、節回しや振付が小気味よくハマって「思わずマネしたくなる」パターンのやつです。「ユ゛ンァマーイシェルター」って言わなきゃ1日終われねーぜみたいな気分の時ある。現にイノッチの裏Shelterというモノマネがあるのですが、こういうの見てるとたとえば郷ひろみさんなどのパフォーマンスに近いのかもしれないと思います。郷さんのヒット曲って、歌のキャッチーさはもちろんのこと、そのパフォーマンスを「型」として誰もが知っているから、何度やってもめっちゃ盛り上がりますよね。アレです。V6ファンにとってShelterは「二億四千万の瞳」です。マサの「ユ゛ンァマーイシェルター」はヒロミゴーの「ジャパーン」。
実は2005年バージョンは他と振付が異なるので、ぜひオリジナル版も見てみてください。


長野博/My Life(2007)

長野さんのソロはものすごくざっくり分けるとしっとり歌い上げるヒロシとかっこよく踊るヒロシがあって、こちらは後者です。もう最初っから坂本さんと二人で踊るから!!最古のシンメ最高だから!!!手、パチンパチンってやるから!!まさに生ける伝説。そんでそのあと剛健バックにつけちゃうヒロシつよい。最後はV5全員が出てくるんですけど、メンバーがメンバーのバックで踊るってなんでこんなに萌えるんですかね。ある程度名の知れた彼らが一気にアノニマスになる感じがたまらないんですよね。水戸黄門の逆バージョン。
とにかく長野博端正なアイドルである。ってところをぜひ見て欲しいです。長野さんって、明太子芸人のくくりでアメトーク出てるけど実は歌って踊るんですよ…!曲調も「エモい(90年代)」って感じですごく良い…。長野さんの歌声ってとても優しくて、意外とあまりいない声だなぁと思います。輪郭がなくて通らないんだけど、それが長所になってる。しっとり歌い上げるヒロシの時はさらにその温かみを感じられるのでそちらもおすすめ。
今回の6つの中では一番、ザ・ジャニーズって感じのパフォーマンスです。


井ノ原快彦/遠いところまで(2011)

井ノ原さんと仲の良い森山直太朗さん(作曲)・御徒町凧さん(作詞)によるフォーク調の曲です。ギターとハーモニカやってるんですけどもう「イノッチってほんとなんでも出来るんだな」って気になってくる。面白いしスタイルいいしなぁ。井ノ原さんはフォークソングに造詣が深いそうで、1998年の初ソロ曲(お前がいる)からすでにフォークでした。今回どっちにするか迷ったのですが、やっぱり最新の方で。「お前がいる」は22歳であの仕上がりかよ!って思いますね…。二つを並べて聴くと、「遠いところまで」の歌詞がより響くんです。
井ノ原さんは絶妙Musicとも迷った。あのあさイチのイノッチがガシガシ踊るんだぜ?イノッチってほんとなんでも出来るんですね?9係も出てるしさー。「井ノ原さんはトニセン(年上組)だけど、実は年齢的には上2人よりも下3人の方が近い」というのは彼を見るたびに噛みしめていきたい事実。


森田剛/官尾(2011)

裸電球が揺れるのってこんなにエロいのかよ。
ふっと指を立てるだけ。裸電球が消えるだけ。帽子をクイっとやるだけ。それだけなのになんでこんなに。
森田剛が舞台の上で動けばすべて正解になるという好例。そしてまた彼は、息をするように踊るんだよなぁ。
森田さんについて多くを語るのは無粋な気がするのですが、かわいい森田さんも知ってもらいたいので、「Candy」というソロ曲はCHARAさんが作っているということを申し添えておきます。


三宅健/“悲しいほどにア・イ・ド・ル” 〜ガラスの靴〜(2011)

世の中にはアイドルである自分を完璧に演じてくれるアイドルがいますが、三宅さんはその中でも「僕、アイドルを演じてるんだからねっ!」までを演じている「メタアイドル」です。もう何重構造だかわからない。
彼はファンの欲望のバランスみたいなのもきちんと把握しているので、ソロでは普段あまり見られないかっこいい三宅健を見せてくれることが多いです。あと、メッセージ性も強い。
ソロを見ると改めて気づかされるんですが、三宅さんはアイドルに必要な能力の平均点がものすごく高いんですよ。顔は可愛いしダンスは上手いし、脱ぐとすごいし周囲のニーズを把握する力もそれに応えるだけの瞬発力、発想力もある。何よりパフォーマンスへの向き合い方が真摯です。なのに、このことを彼はあの声とV6という暖簾の中に隠してたまにチラ見せしてはすべてを煙に巻くんですよ。不思議な人だなと思うけれど、パフォーマンスにちょうどいいキャパシティや希少性を守っているのかなあという気もする。
何を言ってるのか自分でもよくわかりませんが、このパフォーマンスを見ればもしかしたらおわかりいただけるかもしれません。


岡田准一/ユメニアイニ(2005)

ほんまもんのイケメンによるギター弾き語り。2005年のコンサートだとちょうど最初に紹介したShelterの次に披露されるので、盛り上がって熱くなった会場に吹き込んだひとすじのそよ風みたいでまじ清涼剤。ほんわかとした柔らかい歌声に合わせてバックのスクリーンに子猫の映像とか映し出されちゃうので、現代社会に疲れたすべてのひとにおすすめしたいヒーリング動画です。
岡田さんはちょいちょいピアノやギターの弾き語りをやっていたのですが、それを除くと比較的ストレートな演出が多くて、この人、本当に普通の人なんだなあと思います。(決してアイディアに乏しいわけではないということは、全編演出を担当している2008VIBESコンでわかる)
役を与えられて輝く人。役を生きる人。
甘いマスクで歌って踊れてでも自分に自信がなくて、そんな普通のアイドルだった彼に「役者」っていうとんでもないスペックが眠ってたの本当に業が深い。
そんな彼だからこそできるもうひとつの楽しみ方は、「堂上教官がカラオケ行ったらこんな声で歌うのかよ」とかそんなやつ。ちなみにこの時25歳、ぶっさん後、井上前です。


テレビでは見られないメンバーの姿

以上、個人的おすすめソロ6つでした。
普通のアイドルグループメンバーのソロパフォーマンスは、よっぽどのことがない限りテレビでは見られません。グループの色から離れた時、彼らひとりひとりがどんな色に自分を染めているのか、そしてファンはその何を受け止めているのか、興味を持っていただけたら嬉しいです。
他グループのソロならコレ!っていうのも知りたい。

【配信開始】演劇「ハイキュー‼︎」を家でみよう

はじめに

2016年5月8日に行われた、ハイパープロジェクション演劇「ハイキュー‼︎」“頂の景色” (通称ハイステ)の大千秋楽ライブビューイングを観てきました。

 

今のお前は

ただの「ちょっとジャンプ力があって素早いだけの下手くそ」だ

大黒柱のエースになんかなれねえ

でも

俺が居ればお前は最強だ!

ーー「ハイキュー‼︎」3巻より

 

少年ジャンプの三大原則といわれる「努力・友情・勝利」すべてが内包されたこの台詞。大好きなんです。これをまさかの生身の人間で再現されて、不満に思わない日が来るなんて思わなかったよね。

 

個人的な感想を一言で表すなら「幾重にもハイパープロジェクションしたわぁ〜」。

舞台に映像が投影されるように、役者にキャラクターが、アクションが、物語が、他のキャラクターからの思いが投影されて、さらにそこに役者たちのリアルが投影されて、クロスオーバーしていくこの感じ。とても2.5次元的な体験だし、アイドルのコンサートにもよく似ていると思いました。

 

公演映像の配信について

5/20から公演映像が配信されるそうなので、「興味はあるけどわざわざ足を運ぶ気はない」もしくは「観に行きたいけど、あの作品の実写映画化みたいなことになってたらと思うとこわい」という方にお伝えしたいことをこのエントリーにメモしておきます。配信サイトへは公式サイトから。ストリーミングは7日間で1,250円です。

ちなみに配信動画、早速見ましたがカーテンコールまでカットされずに収録されていました…!!出演者全員の挨拶も、影山役の木村達成さんが何か持ってきちゃって叱られてるところも、日向役の須賀健太さんと木村さんがノープラン丸出しで並んで漫才コンビみたくなってるところも全部見られますよ…!!ライビュで見にくかったシーンのカメラワーク等も修正されていました。

全部で2時間30分くらいあります。見てて30分くらいでスガさんのアホ毛が気になり出します。何かのコードとか巻きつけたくなる。かわいい。

 

ローラーで沼に突っ込む可能性がある

私はどちらかというと3次元メインなので、ほんとちょっと覗くだけのつもりだったんですが。結果としてはもうまんまとはまってしまいました。偶然4月に自分の中でハイキュー熱が再燃したのでなんとなーく舞台にも興味を持ち、キャストビジュアルを見て「!?」、うっかり初演のDVDをポチって再生して「!?!!!??!!!?」、そのまま再演のライブビューイングチケットを購入、伝説を目の当たりにして「ええ、控えめに言って最高でした^ ^」という流れです。

何に驚いたかって、そりゃもう「影山まじ影山」という点ですよね。ここ「及川さんまじ及川さん」とか「嶋田マートまじ嶋田マート」でもいいんですけど、同じような流れ辿った人きっといっぱいいるんだろうなぁ。私、今「青学7代目やべぇな」のとこです。

 

キャラクターはだいたい無事

自分の好きな漫画やゲームが実写化or2.5次元化“されてしまう”。

そんな時、自分が見に行くにしろ行かないにしろ、どうしても気になってしまうのが「自分の推しがアレなことになってないか」ということだと思います。だから、ここで舞台を見ていないハイキューファンの方々にお伝えしたい。

あなたの推し、無事でしたよ!!

今回は烏野、青葉城西、町内会の面々が登場しますが、キャラクターの再現度や役者さんの演技力については全員問題ないと思います。推しが理不尽に「ナニアレw」とか言われるようなことにはなっていないです。むしろ、本当によくキャスティングしたなあと思う人ばかり。

たとえば東峰旭役の冨森ジャスティンさん、一見「旭さんってこういう感じだっけ?」と思うかもしれませんが、舞台では見た目から仕草からまじで旭さんなんですよ。あと、及川徹役の遊馬晃祐さんは初演が俳優デビューだったらしいのですが、よくこんな人見つけてきたなとかいうレベルじゃなく、むしろこの人よくそれまで世間に見つからなかったなと思うくらい無駄にキラキラが散乱してた。銀幕越しにそれ浴びて、映画館出るとき虚空を見つめながら「及川さんはおったんや…」て言ってる人いっぱいいた。

個人的な尺度でいうと、私はニコニコ動画テニミュが流行っていた時代の跡部加藤和樹さん)は「跡部様まじ跡部様」と思ってたんですが、それに匹敵するレベルで影山まじ影山だし、他にもそのくらいの再現度のキャラが結構いました。

変な話、めっちゃ似てるラルクのモノマネ見てるみたいな感覚ある。

ただし、縁下だけは、おそらくお芝居のバランスをとるためだと思いますが、キャラクターや立ち位置が若干変更されています。ここは個人的に少し残念だったところ。でも後続のストーリー展開に大きな支障が出るほどではないので、次回以降の公演に期待したいです。もしかしたらこの変更、今後の使いようによっては舞台版の胸熱ポイントになるかもしれない。

 

ストーリーは大筋なぞってる

「キャラ同士の細かいやりとりや試合を積み重ねてこその関係性なのに、2時間やそこらでおさめるなんて無理」。それはほんとそうで、漫画でいうところの読み切り型な舞台はそこは不利です。でも原作が週刊連載漫画なだけあって短期的な引きやフックも考慮して物語が作られてるので、ある程度切り取ってもやっぱ面白いんだなあって。

で今回の脚本ですが、様々な制約の中での最大公約数という感じで、ちゃぶ台ひっくり返したくなるような改変はなかったです。「あの台詞聞きたかったのにー!」っていうところはいくつかあったけど、大切なところは大体掬ってくれていて、概ね満足できました。でも「俺の後頭部に」のくだりは見たかった。あそこは意外さもあってキャラ描写として結構重要なシーンと捉えてたので。あと、潔子さんがいない。仕方ないけど、いない…!!言い出したらあれもこれも出てきちゃう、くらいにはカットされてる。原作でいうと1〜3巻、アニメでは1〜10話にあたります。

一番最初にDVDで見たときは原作のいいところを切って繋げたダイジェストみたいに感じたんですが、これはおそらく演出や演技によるところが大きくて、再演ではもっと場面ごとのメリハリ、雰囲気の緩急や濃淡がついていたのでそれほど気になりませんでした。(もしかしたらこちらがテンポに慣れてしまったのかも)

 

歌わないけど踊る

よろしければ、まずはこちらをご覧ください。再演のゲネプロ(リハーサル)映像です。

 

youtu.be

 

これだけでも舞台舞台してて「うっ」となる方がいると思います。

演技が大げさ!なんで急に踊り出すの!?なんでポーズとるの!?もっと普通でいいのに!!

わかる、わかります。影山は試合中にステップ踏んだりしない。逆にスガさんの髪の色は原作に忠実なんだけど違和感あったりしますよね。DVD見てて後ろから家族に「なんで一人だけおじいちゃんおるん」って言われても「スガさんやで」としか言えない(答えになってない)。

これは予想していたけど、試合表現に占めるダンス要素は結構多いです。それ以外にも、いかにもな舞台的違和感はそこそこ強め。なんかわからないけど知り合いが出てる演劇で身内のがむしゃらな姿を観てる時みたいな感覚もちょっとあって、苦手な人もいるかも。テニミュとかのほうがそのへんの抵抗感は弱い気がしている。

しかも、この舞台はプロジェクションマッピングライブカメラなどの新しい技術を取り入れる一方で、すっごいアナログな演出手法を使ってきたりもするので、こっちの受け入れ態勢が整ってなくて結構びっくりする。日向の速さの表現とか目を疑ったもんね。まじかーーー!!!ってなる。いい意味でも悪い意味でも、印象に残るんだよなぁ。この人力具合が肌に合う合わないのひとつの分岐点になってると思う。人によってはかなり頑張って向こうの文脈に飛び込まないといけないです。

パンフを読むと、演出やダンス、フォーメーションなどは俳優さんたちから出てくるものやディスカッションを通じて作り上げたところが多いようで、なんだかワークショップっぽい。ポージングとか自分でやってみるとわかるけど意外とバリエーションないし超絶恥ずかしいから、それ乗り越えてひとつの劇を作り上げてるってことはやっぱ2.5次元の人たちってただの柔なイケメン俳優じゃないんだなぁ。これ本当にすごいことだと思うんです。しつこいけど、人前で「ぼくのかんがえたかっこいいポーズ」いくつかやってみたらわかる。カンパニー感溢れてたのも納得。

「今誰々は前衛にいないから〜」みたいなこと考えながらシーン作ってくの、ほんと部活みたいで、本人たちも思い入れが強まるだろうなぁ。というようなことを考えてたらどのシーンも愛おしく見える。かも。

 

原作を知らなくても楽しめる

と言いたいところですが、原作を知らないより知っていたほうがさらに楽しめる演出です。読んだことのない方はぜひ、原作から入ることをおすすめします。

普通に面白くてクセがないので、お茶漬けみたいにサラサラ読めます。社会人になってから、それがどんなにありがたいことかわかったよね…。アニメも原作のイメージを損なうことなく丁寧に作られているのでおすすめです。1話だけならGyaoなどの配信サイトで無料で見れます。

gyao.yahoo.co.jp

 

舞台版は合わない人もいると思いますが、箱推し体質の方は楽しめるような気がします。私はV6ファンなんですけど。「やだ…ハイキューもコートの中6人…どれだけ6人組すきなの…」って思ってたけど、そういやV6のVはバレーボールのVだったって最近気づきましたよね。あと、シンメやコンビ好きの方。そんな方には是非オススメしたいです。

舞台上で…同じユニフォームに身を包んだ若い子たちが…ひたむきに一つの目標に向かって…恥も外聞もなく全力出して駆け回ってるんやで…。セッターが…最強コンビのスパイカーに…トスを上げるんやで……!!そんで、そんでさ!!スパイカー役の俳優さん5歳からずっと芸能界で活躍してる元天才子役しっかりした21歳(166cm)でさ、対するセッター役の俳優さん18歳でデビューしたまだ経験が浅くてちょっと変わり者眼光鋭い22歳(180cm)で!なんの因果かそんな正反対の二人が出会って!!凸凹コンビさながらに!!!ハイキューという作品を引っ張ってってるわけ!!!!

話が逸れましたが、この勢いで語りたいコンビが他にもいっぱいいる。それって演劇の楽しみ方じゃないと言われそうだけど、でもやっぱりファンって、役者さんがその時そのタイミングでひとつの役に出会ったその意味を、どうしても考えずにはいられないですよね。

で彼らがほんとなんのスポーツだってくらいめっちゃ動く。役者さんみんな汗だく。ひたむきさとか一生懸命さとか青春とか大好きだから、もうそんな集団見てるだけで泣けてきちゃうんですよね…。なんらかのグループやチームが好きな方は、なんとなく感じ入るところがあると思います。

あ、あと腕の筋とか好きな方にもおすすめします。

 

音ハメ地獄

この舞台、音楽がやばい。先にアニメ版の話をすると、そちらは原作のイメージ通り、期待以上の音楽がつけられてます。第1話の回想からのオーバーラップで日向が最初にとぶとこの流れ、ホント鳥肌立ちましたよね…「突破口」大好き。アニメ版の劇伴は原作のイメージに寄り添い、雰囲気や時間の流れに緩急をつけ、ストーリーを盛り立てる最高の音楽だと思ってます。

それに対して舞台版の音楽は和田俊輔さんなんですが、こちらは盛り立て役でありつつ、舞台上を支配する王様でした。個人的にはお芝居と音楽のハマり具合かなり見応えあった。というか、シーンによってはもう音楽に合わせて台詞を言っていると言ってもいいくらい。それに気づいてからは音ゲーやってる人見てるみたいな気分になりましたよね。何これズレたらどうするの。こわい。

実際には演技だけじゃなくてプロジェクションマッピングや音響照明すべてが同期してるわけで、まさに「歌のないミュージカル」。ミュージカルはある点では感情表現が歌に縛られるわけですが、この舞台はミュージカルでもないのに台詞にタイミングの制約があって、ただそれが若い俳優さんたちの瞬発力を大いに引き出している。これ、すごくいい巡り合わせだなあと思いました。

想像の100倍くらい音楽ありきの舞台だったのでなんでこんなことに…と思ったら、再演パンフのウォーリー木下さんのコメントを読んで納得。

和田くんがすごかったのは、試合シーンのデモに全部自分で台詞も入れて持ってきたんですよ。この曲のこのタイミングでこの台詞を言って、バシッとボールを打って…っていうのがもうそこにある。

もう演出しちゃってる。作曲家の所掌範囲を超えてる。最高。

パンフでは稽古場での作業はミュージカルを創るのに近かったと書かれていますが、ひょっとしたらこれ、音楽とのハマりによる快感を追求しているという点ではファンがアニメや原作の素材を使ってMADを創る作業にも近かったんじゃないかなぁ、と思いました。あれも、ひとつの解釈を通した音楽優位の再構築なんですよね。音にハマった時の快感を使って観てる側の感情を煽ろうとする。私はちょうど煽られ世代なんで、非常に気持ちよかったです。そして素材が生身の人間であることに何度でも驚く。その点では、フィギュアスケートのプログラムにも近いかな。

 

原作の絵が投影される

「ハイパープロジェクション演劇」と銘打ってるだけあって、劇中は後ろのホリとか舞台の床に映像が映し出されるのですが(雨シーンの足元は裏方さんのエゴが出ててすごく好き)、今回の公演では原作の絵や台詞が投影されることがあります。

正直最初に思ったのは「どこかの層にケンカを売っている」。

漫画の力を演劇で使っちゃってる

え、それダメでしょ、ずるいでしょ!!と思う自分と、いいぞもっとやれ!!と思う自分がいました。最終的には後者が勝ったけど。これもMADの感覚と一緒なんですよね。だってやっぱ、台詞が文字で出てくると違うんだよ。文字に感情が宿って見えるっていうか。原作絵が出てくると思い入れも強くなるし。まぁそれなら漫画読めばいいんだけど、逆に漫画だと音も、音楽も流せないんだよね。ボールとシューズ音があるだけで臨場感が全然違う。「俺が居ればお前は最強だ」って言ったらやっぱ音楽流れてほしいけど、漫画じゃ無理だから。漫画でできないことの敵討ちを、舞台で俺らがやるぜ!ではなくて、漫画も一緒に連れてきてやってくれた感じがあった。

特にオープニングは原作と、俳優と音楽と、関わる人の想いと思惑とがすべてが綺麗に合わさったコラージュのようで、個人的にはここだけでも観てよかったと思いました。

 

最後に

最近は舞台公演の映像がネットで見られるのですね。演劇はなんだかんだチケット取りにくいし金銭面、学校や仕事の都合、体調など様々な事情で行きたくても行けない人も多いと思うので、こうした取り組みは今後もっと流行ってほしいなぁ。

 

 

ハイステ感想メモ

演劇ハイキュー!!好きなシーンメモ。ネタバレあり。初演はDVD、再演はライビュ。
ライビュおすすめ記事と一部内容重複してます。
 
オープニング
オープニング最高ですよね!?!!?
キャラクターの再現度が高いので、これもし万が一舞台で後ろに原作のキャラたちが映ってなかったら、絶対比較動画作りたくなるやつ。公式でやってくれて本当に良かった。
これ見てると、漫画家の末次由紀さんがPerfumeのジャケットを描いたときに「漫画と言ったら集中線とコマ割り」とおっしゃっていたのを思い出しますね。
集中線、コマ割り、あと、吹き出し。
背景の圧倒的な漫画力!漫画いいなぁ!!
で、それに生身の人間が演じているキャラクターをぶつけてくるその姿勢がすごい。堂々と原作の絵と並ぶなんて、真っ向から対峙しているという自信がなければできないことですよね。
 
それにしても、この音楽の良さは一体何事か。
作曲は和田俊輔さん。オープニングの曲はどういうイメージで書いたのかなあとずっと考えてたんですが。もう本当に演劇ハイキューにピッタリなんですけど、原作の雰囲気からぱっとこういう路線を思いつくかというとそうではないというか、極力感情表現を抑えた、シチュエーションを限定しないすごく汎用性のある曲に感じたんですよね。だからこそ聴いている側に想像の余地があり、余計に感情が煽られるのだと思うのですが。
そんな空気感のところ原作にあったかなぁとページをめくっていたら、まさに同じ印象を受けたところがひとつ。
コミック9巻、仁花ちゃんが作ったポスターです。
小さな巨人”、再来。
烏、再び全国の空へ。
あーここだ、この景色に、この音楽は重なる。
感服しました。
ポスターの主人公の、日向の表情はここからは見えないけれど、観ている側は彼が飛ぶその瞬間をまるでスローモーションのように目に焼き付けて、そこに何かしらの気持ちを投影して見守っている。
「飛んだ…!」と感じたところから、着地するまでのほんの一瞬を切り取った音楽なんだなって思いましたよね。飛べない人であればあるほど、観ている側はその思いを彼に託すっていう…どっちかっつーと日向を観ている人の心象風景なのかも。日向や烏野メンバーを観ている武田先生がポエミーになるのわかるなぁ。
 
オープニングのこの曲だけでも、この舞台が原作の根幹をとらえくれてるのではないかという予感がしました。そしてそれは、多分間違いじゃなかったと思います。
 
しっかし、音楽に乗って名前と原作絵が映るだけでこんなに胸熱なんだなって思いましたよね。キャラクターの名前の文字列が映っているだけなのに、なんでこんなにグッとくるんですかね。何が見えてるんだろう私。
特に好きなのが、月島が歩いてて山口が後ろから手を振って追いかけてくるところ。ちょっとだけ曲調変わるの。あそこに月島持ってきた人と本当に握手したい。そうなんだよーーー、あの曲調は「今はまだいまいち敵か味方かわからないけどいつかフィーチャーされる感がある冷めた感じのサブキャラクター」に合わせる曲調だよねーーーーー!!!この曲ってまぎれもなく演劇ハイキューのための曲なんですが、そこに特化しているわけではないから何にでも合うと思っていて、たとえばアンパンマンのキャラクターたちをこの曲に合わせても多分泣ける。で月島のところは絶対にロールパンナちゃんにする。コナンだったら?そう、灰原哀ですよね。
しかもここ後ろの映像が縦に流れてさーー、映写機の音カラカラ鳴らすの、それ反則だよね!!考えたの誰なの!!最高!!
 
オープニングだけじゃなく全体的に、再演は繋がりと余韻が大事にされてて、進化してる感あったなー。
 
 
 
コート上の王様
オープニングより前に戻りますが、コート上の王様こと影山の登場シーンは、音楽・照明・衣装・効果音・演出・影山のバサァッから上げた顔、もう全部が全部出来すぎててこわい。初めてここの影山の顔見た時はマジで衝撃でしたよねー。巻き戻して見るでしょ。これ。絶対。影山まじ影山すぎてそれだけでも目を疑うのに、演出も音楽も外してないって奇跡。運命の邂逅とすら思ったよね。こわいわー、2.5次元。
 
 
二枚でとめるぞ!
初演が初舞台だった小坂涼太郎さん、再演でたまに会う友達の子供かってくらい成長してて驚いたよね。それを顕著に感じたのがこの台詞のところ。初演ではひとりでワタワタしてるみたいになってたけど、再演は台詞回しも動きもよくて何が起きてるのかわかりやすくなってた。彼は自分がやったことを本に纏めて、指導者がいない高校演劇部向けに売り出してあげてほしい。
あと山口がもう可愛くて仕方なくてさーーー、しかも舞台をおりたら小坂さん&三浦海里さんの関係性はツッキー&山口とは逆だって言うじゃん!?何ソレ!?何その世界線!!まじ見たいんですけど…ドキュメンタリーDVD買うから、入れてください…!私服エグザイルピーポーであることを微塵も感じさせずに山口を演じた三浦海里さんには、2.5次元という世界において無限の可能性を感じる。彼は声が少年漫画なんだ。
 
 
プライド見せろ!
ハイキューは少年向けスポーツ漫画にしてはあまり男くさくなくて、そこがいいところでもあると思うんですが、そんな中での再演の岩ちゃんのこれはちょっと空気変わったしマジでカッコよかった。青葉城西メンバーみんなよかったなぁ。白子の時も、最初ただの誰かだったのが、名前が分かって顔が判別できるようになったら私の目に見えてる舞台上の風景にどんどん深みが増していきましたよね。。
 
 
及川さんのジャンプサーブ
圧倒的にフォームが綺麗でジャンプも高くて、1発目から度肝を抜かれました。遊馬晃祐さんがバレー経験者と知って納得。遊馬さんのフォームや他の舞台だけど佃井皆美さんのアクションとか見ちゃうとやっぱり本物の一芸って観てる人を感動させるんだなあと思ってしまう。個人的には、本当にはできないのにやっていると感じさせる表現も、本物と同じくらい尊いと思ってるんですが。
遊馬さん、及川さん役だったからかもしれないけどなんか底が知れない感じがしますね。
 
ここにいるぞ!
影山役の木村達成さんのモノローグが好きなんですが、再演は初演より演出も台詞回しも抑揚がついてましたよね。ここだけじゃなくて、全体的に影山が感情を少し強めに出していたように感じたのですが、私はどちらかというと抑えめの初演の方が原作の影山に近いような気がして好きです。(単純に好みの話)
でも、ここのシーンは、再演の方が深く影山が影に沈み込んだ分、飛び込んできた日向の光が強く見えたなぁ。影山が日向に引っ張りあげられるマイムもいいですよね。
その日向役の須賀健太くん。V6ファンの私の中では「(森田)剛くんを兄のように慕ってくれるかわいい子」というイメージだったのですが、こんなに頼もしい役者さんだったんですねー。DVDの特典映像で大人組の方々が話していたエピソード、21歳でそんなにしっかり座長でいられるのかとびっくり。芸歴が長いから、だけじゃないんだろうなあ。
舞台上の彼の、ハイキューが、日向が、みんなが、ここが大好きだ!!!っていう思いがホンットどっかの少年漫画みたいに目に見えるようで、こんな座長に巡り会えた作品やカンパニーは幸せだなあと思いましたよね、、、
好きなことを仕事にするって、全然楽じゃないから、それをこんなに楽しそうにやって見せてくれる須賀くんの姿はきっとまわりの俳優さんたちにもなにかしらの影響を与えたんだろうなぁ。
 
 
ひとつきブランクあってこれかよ
木村達成さんの声って、別に高いわけでも細いわけでもないのに、ガヤでも耳をつんざくように入ってきてすごい。あれなんなんだろう?台詞回しの鋭さかな?すごく不思議。そこが影山のツンケンしてるんだけど意外と喋ってるところによく合ってた。
 
 
だからもう一回トスを呼んでくれ、エース
ノヤっさんって烏野メンバーの中では一番体現しにくい造形だと思ってたので、橋本祥平さんのノヤ顔見た時まじ菩薩顔にならざるを得なかった。2.5次元最高やで…。舞台のノヤっさんは若干ノドが弱そうな印象を受けたので、だからこそこのシーンの絶叫は逆に心からの叫びって感じがしてよかった。もう少し安定感のある声だったらこの悲痛さはでなかっただろうな。ノヤさんのめっちゃ漢なのに「旭さんが出ないなら試合には出たくない」とかいう繊細なところが声に出てるみたいだった。
 
 
エースが待ってる トスを呼んでる
音楽止まって旭さんの雄叫びからの「もう一本!!!」で大音量でオープニングの主旋律入ってくるの卑怯すぎでしょう!!!いやほんとここで使わずにいつ使うのって感じですよね最高!!ほんといい曲だなあ。
それを受けてのこの台詞、スガさんだからパワーで押したりはしないんだけど、その分血が滲むような、思いのこもった渾身の演技だったなあ。上向いて言わなきゃいけないから声出にくそうなのに全然そんなことなくて。トスの最後に右手が残るのが、祈りをボールに託しているようで美しい。
猪野広樹さんは声がめちゃくちゃ私の中の原作のスガさんそのものだった。こういう声でこういう雰囲気の人って学年に一人くらいの頻度で存在してると思うんだけど、役者さんでは意外と少ないんですよね。引っ込み思案オーラまとってるのに舞台に上がるって矛盾が、スガさんの表裏一体の弱さと強さにも重なってなんか嬉しい。
 
 
打ち切ってこそエース
冨森ジャスティンさんはほんとによくこの台詞を言い切ったよなあと思う。
それこそバレーボールじゃないけど、旭さんのこの台詞は今回の公演を決める最後の1点みたいなもんで、いくらノヤっさんがローリングサンダーを綺麗に決めても、いくらスガさんが最高のトスをあげても、この一言が決まらなかったらぜんっぶ台無しなんだよね。
しかもここは旭さんのモノローグに見せかけてコート上の仲間たちと観客全員の強い願いでもあるから、外したらもう目も当てられない。コートのネットに文字出ちゃってるし。
だけどジャスティンさんは台詞に負けるどころか、さらに力をもたせて言い切れる、まじカッコいいエースだった。痺れた…。
 
 
俺が居ればお前は最強だ
だからここで低音から音楽入るのずるいって!
あとDVD見返してて思ったのは、この音楽の入りと同時に日向の周りの役者さんも動き出すんですよね。日向の心の動揺を表現するために使える駒は日向を演じる役者だけじゃないんだってあらためて気づかされました。白子のところはそれが顕著なので、わかってたことなんですけど。
それでここからの影山の長台詞がほんとに好きすぎる。アニメより感情的なんですが(たぶん構成が違うせいもあると思うけど) 、すごく舞台らしい、演劇らしい演技だなあって。でも漫画の方をもう一度読んでみたら原作の影山は結構これに近いテンションでぶつかってた。ゼェゼェ言ってるし。ここで説得力持たせられないと次の日向の台詞に違和感が生じるからほんとに大切なトスなんだけど、自然に繋がってて素直にその台詞力すげぇなあって思いました。
「打ち切ってこそエース」の次に来る見せ場で、しかもセッターのトスからのスパイク、音楽も同じテーマが使われてる、って構図的にだいたい同じような流れをたどっちゃってるので、下手したら絶対見劣りするんだけど、うまいこと対比になってたなあ。
この台詞、再演配信版のしぼりだすみたいな言い方、最高でした。
 
 
思わない
実は、初演から一番進化してると思ったのが主演の須賀さん演じる日向です。台詞は声を出して言うものだけど、台詞に、声がのってるみたいに感じるところがあって。自分でも何言ってるかわからないけど台詞の前に思いがあるんだって思ったよね!!!伝えたい思いがあるからどうしても声が出るんだって!!!
 
 
そんな嶋田、きらいじゃないでしょ
嶋田マートは今回のハイキューで一番ずるかった。好き。 
ていうかこの言葉、そんなキラーコンテンツじゃないと思うんですけど、なんかすごい言霊持ってたなぁ。それにしても、大人組の皆さんの出過ぎない感じ、よかった。あんな若い子たち見てたら自分も全力で行きたくなっちゃうだろうけど、抑えて余力を残してくれて本当に助かった。観客が疲れちゃう。
そういう意味でもう一人舞台のバランスをとってたのが縁下役の川原一馬さんだったと思うんですが、彼は烏野メンバーでもあるから難しかっただろうなぁ。あそこまで変える必要があったかな?っていうのはあった。でも彼の存在は技術的な意味でまさに縁の下の力持ちだったし、こういう人がいないとカンパニーってまとまらなかったりするんですよね…!!縁下が活躍する場面まで、川原さんであってほしいなぁ。
 
町内会戦最後のポージング
ここも漫画やアニメでは出来ない、舞台だからこその表現方法で、個人的にはここの演出はハイキューの根幹にハマったなーと思ってます。私の中で会心の出来。 
初演DVDの座談会で、澤村大地役の田中啓太さんが「自分が一番最初にレシーブするから皆がだんだん集まってくるのが見える」というようなことをおっしゃってたのが印象的で。再演を見ていて、今回の澤村大地役の秋沢健太朗さんはどんな思いでその景色を見ているんだろう、と彼の心中に思いを馳せずにはいられなかったです。
個人的には初演の田中さんの半端ない安定感が好きだったので、秋沢さんには少し物足りなさも感じました。だけど、だからこそ彼に強く感情移入してしまった。ある程度出来上がったカンパニーにあとから、それもキャプテン役で入るって、どんなに大きなプレッシャーだっただろう。
そんな彼が途中、「絶対に、みんなを全国に連れて行こう!」と言った時の、他の役者さんと会場の雰囲気。ふっと和らいで、少し浮き足立ったように感じました。あれはきっとアドリブだったんですよね?秋沢さんの演じる大地さんが、受け入れられてるんだっていう何よりの証拠を見れたようで 、嬉しかったなあ。
林剛史さんも言ってたけど、最後の円陣で彼が声を上げるのは、劇団ハイキューとして何よりも意味があった気がする。人が変わっても、カンパニーは崩れたりしない。と、言うのは簡単だけど、これを実現するのって本当に難しいことなんだよね。
 
 
どーもぉ、ご無沙汰してまーす!!!
↑のポージングでの田中先輩の台詞。
塩田康平さん、今回の公演のMVPだと思ってます。初演の時は田中先輩すごいわー、存在がまんまだわーーー、声枯れないのすごいわーーーー、と思ってたけど、再演を見ていたら舞台上の熱量の三分の一は彼が声と全身を使って発してるガヤガヤ感とその乱反射によるものだと気づきましたね。。。こういう役柄って一歩間違えば完全にうるさい鬱陶しいキャラになっちゃうんですが、「ご無沙汰」がきちんとご無沙汰に感じられる通り、塩田さんはひくべきところの見極めもうまい。すごいなぁ。若くて未熟な子たちがやっている舞台は多々あれど、ただ若さがあふれてるのと、それをエネルギーとしてきちんと客席に向かって放出するのとでは全く違うんですよね。
 
 
僕が影山なんで
カーテンコールで木村達成さんが言い放った言葉です。
不遜…!
「今回は自分の体に嘘をつかない芝居をするということを自分の中のテーマにしてて。(略)影山のことそんなに考えてないんですよ。なんでかっていうと僕が影山なんで」みたいな感じだったかな…うろ覚えなので正確じゃないです。
個人的には、初演の方が喋り方も表情も原作の影山のイメージに近かったと思うんですよ。 口をとがらせたときの顔とか。もっというと、再演はキャラクターが揺らぐところがあって、一貫性がなかった。「影山ってそんなとこで笑うか?」みたいなとこもあったし。
なんだけど、高校生らしく、人として生々しく見えたのは、再演の方。
最後に彼が言ったこの言葉で、これは原作の影山じゃないけど、木村さんが演じる影山はこうなんだなって、受け入れざるを得なかったです。
どこかで読んだ木村さん(もしかしたら違う役者さんだったかも、自信なくなってきた)のインタビューでは「いかに役に近づけるかが大事」という主旨のことを言ってて、2.5次元ならではの役作りだなーって思ってたんですけど、今回の影山の役作りはちょっとちがうアプローチが取られてたんだなぁと。確かに僕が影山なんで、って、近づくべき正解を外側に意識してる人がわざわざ言うことじゃないですよね。ましてや、「正解になりきれた」と慢心している人から出てくるニュアンスの言葉でもない。自分の中に正解を求めてたのかなぁ。あるひとつの役をやるのに演者のパーソナリティが反映されるのは当然というか、そうすべき役の方が多いんだと思うんだけど、2.5次元舞台でこのアプローチが正しいのかどうかは、よくわからない。
ただ面白いことに、こういうこと言っちゃう木村さんの姿勢は、誰よりも影山らしくて良かった。
 
 
日向はとんだのか
余談ですが、漫画ではどうしても表現が限られるスピード感や高さが、アニメでは実際に対象やアングルを実際に動かしてよりわかりやすく補強されていたので、ハイキューはアニメーションという表現手段との親和性がすこぶる高い作品なんだなあと感じていて、
それに比べてコレ舞台ではどうするんだろうと思っていました。動きやスピードそのものの再現はできない。生身の人間であるというハンデを背負った俳優の身体と、その他の要素を使って何をどう表現するのか。
結果、漫画アニメでは表現しにくい、人の熱量というものがダイレクトに渡されて、あーそっかぁ、演劇ってこういう強みがあるんだなぁと思わされました。
個人的には今はまだ日向の速さや、高さを表現しきれてないような気がしているので、次回公演がとても楽しみです。