王様の耳はロバの耳

言いたいけど言えないからここにうずめる

ミュージカル『四月は君の嘘』ネタバレ感想(5/16)

ミュージカル『四月は君の嘘』5/16マチネ公演を観ました。
有馬公生:木村達成さん、渡亮太:水田航生さんの回です。


5/8マチネの感想はこちら


5/19マチネの感想はこちら




前回の感想で書ききれなかったことや新たに思ったことなどを書きます。ネタバレしています。



● 『♪僕にピアノが聞こえないなら』

CDで聞いてる時もずっと面白いなあと思ってて今回お芝居の中で見てさらに強く印象に残ったことなんですけど、この歌、「ピアノの音が聞こえない」という君嘘にとって超重要な設定のひとつであり有馬公生という人物のこの時点の核である「絶望」を提示する歌なのに、音の運びが思いっきり明るいんですよね。長調?この「物語の問題提起」を長調でやるの??という驚きがある。(いやすみません、私は音楽の知識はないので本当に長調なのかはわからないのですが)


特に最初のサビの入りの「ぼくに〜♪」という3音、上がっていく音の並びがめちゃくちゃ陽に聞こえるし、そのサビが終わった後の「ちゃちゃらっちゃっちゃっ」という間奏もリズムが入ってくる盛り上げ方もすごく前向きな響きを持っている。このあたりで舞台上では盆が回り、「物語が動き始めた」という昂揚感が音楽からも視覚的にも感じられるようになっていた(と思う)。そこから続く「まるでメトロノーム」以降もメロディだけ聞けばかなり明るくて、一瞬長所の話をしてるのかと思うくらい。見る人から見れば長所なんだけど、公生自身はそう思ってはいないと思うので心理とメロディが相反している。小さく自嘲が混じるようにも聞こえる。


要所要所でベートーヴェンのピアノ・ソナタ第14番<月光>第3楽章が入ってくるので、このクラシック音楽の響きが公生が追い詰められていることやその悲壮感を伝えてくれるんですけど、あくまでも公生自身が歌っているメロディやそれを支える伴奏自体は実はそこまで暗い音の並びではないというのが、この作品の音楽の作り手、担い手たちが指し示す公生の行く道の暗示や祈りや励ましのようでとても好きだなあと思いました。後に出てくる「聞こえないことは贈り物だよ」という言葉に、この時点で微かに呼応している。この音楽を作ったり演奏したりしている大人たちはみんな公生やかをりと同じ「音楽家」「演奏家」だから、だからこそこの音楽を明るく作れるのではないかと…弾けない絶望を乗り越えたその先に希望があると知っているから。「振り返り見ればその絶望も長調」というか…(なにそれ…)


そして、私はミュージカル『ジャック・ザ・リッパー』の時に「木村達成さんマジで長調の歌が似合うな!!!」と思って以来こころの中で「長調メジャーの木村(さん)」と呼んでるんですけど、あと絶望して舞台に膝をつくのが似合うので「膝落ちの木村(さん)」とも呼んでるんですけど、一番最初のこの歌でまさかの両方発揮してしまっているので、最初からクライマックスすぎて本当にやばい。
木村さんには明るい音の運びが似合うし、膝から崩れ落ちる姿も似合うし、でも一番すごいのはその相反するはずのふたつを頼りない有馬公生の身体の中に押し込めて、絶望なのか、希望なのか、もうそれすらもわからないようなモノトーンの世界に迷い込んでしまった姿として表現するその渾然一体となったお芝居と歌だと思うんですよ。え????良すぎませんか??????良すぎてキレてるんですけど?????何度でも見たいです。
そして終わり方と最後の音はだいぶ激しく短調なので全体的に苛烈な歌だったような印象になる。「終わり短調ならすべて短調」というか…(なにそれ…)
最初に有馬公生を定義する歌として本当に良くできているなあと思いました。



● 音楽室の歌

※ 曲のタイトルを書こうと思ったんですけど、パンフレット掲載セットリストのネタバレになってしまうかもしれないので、とりあえずコンセプトアルバム収録済みの楽曲のみタイトルを書こうと思います。


前回観劇時に二幕の公生と渡のシーンで残ってた女の子が椿ちゃんのお友達の柏木さんっぽいな…?と思ったんですけど、多分同じ方…?が音楽室で歌ってる時、ソフトボール部のユニフォームでおにぎりめっちゃ食べてたのでやっぱり柏木さんかもー!と思っていたら、本日唯月さんからご紹介が!!柴田実奈さん!


柏木さんー!!!待ってたよー!!!
今日同じシーンを柏木さんにも注目して見てたんですけど、公生と渡のやりとりを好奇の目で見るでもなく静かにそこに“いた”のも、途中で教室に入ってきた椿の肩をポンポンと叩いて出て行くのも、なんか柏木さんならあるかもしれないと思えてすごく良かったです。(今回は席的によく見えなかったけど、前回はほんの少しだけ「ヤレヤレ、青年たちよ」みたいな達観した笑みを浮かべているように見えて、それがすごく柏木さんっぽいと思って印象的だったのでした)


あのシーンに柏木さんがいるのって、「メインの4人」が「メインの4人」の世界だけに閉じこもってるわけじゃなくて、周りときちんと繋がって生きているということを象徴していてほんとに効果的だなあと思う。
あとなんか他のシーンでもおにぎりめっちゃ食べてた。ラップのおにぎりなのがリアルだなーと思いました。



あとこの歌でしたっけ…「わたりー!」みたいな合いの手が入るの……あれ今後心の中で言いたいですね……水田航生さんの渡、めっちゃかっこいいしいいやつだし軽やかさがあって、「これがリアコといふものか…」という気持ちになりました。これはモテるね……モテる……『♪The Beautiful Game』で渡のウチワ持ってる女の子たちがいて「わかるわーー」となりました。女の敵って言われてるけど女の子から連絡がきてあんなに喜んでるなら悪い人じゃないよね♡(ちょろい)
寺西さんの渡は包容力があって精神年齢が高そうだったけど、水田さんの渡はわりと公生と目線は近い感じがしたな。どちらの渡もすごく好きです、ほんとに。


それから見れば見るほど唯月さんの椿がほんっとうに可愛くて、生田さんのかをりちゃんがこれだけ可愛いのに横にもめちゃくちゃ可愛い方がいるの、本当に奇跡では…?と思った。歌がうまくてお芝居がうまくて可愛くて安定感があって、強めの言葉を使っても下品にならず、すごく難儀な立場ではあるのだけどその芯の強さ、健気さから一方的に哀れまれるだけのキャラにはならず、幸せになってほしいしきっとなれるだろうと思わせてくれる……ほんとに椿ちゃんをやってくれてありがとうございます……



● 出会いのシーン

原作の公生とかをりの出会い(ピアニカのシーンで「絵になるな」と思って写真を撮ろうとした瞬間ちょうど強い風にスカートがあおられてしまいかをりに盗撮だとキレられるという流れ)、当時の少年漫画なら普通だけど今商業舞台としてやるなら客層やゾーニング的にどうだろうと思ってたけど、今作では原作にもあった「靴とレギンスが木にぶら下がってるのを発見する→そのレギンスを持ってたので写真のついでにそっちも怒られる」を利用して写真云々はなく「靴下を知らずに持ってて怒られる」という流れになっていたのが不自然じゃなくてうまいなーと思いました。相手が自分の靴下持ってたら「ちょ!!」って焦るのわかるし(いや殴ってはいけないけど)、公生も「靴下???」と思って普通に持ってただけだし。このあたりの、時代の流れによって受け取られ方が当時と変わったと思われる描写などはちゃんと脚本で対応されていて、そこはとても信頼できる…と思いました。「今それそのままやっちゃう?」っていう違和感がほとんどなくて良かった。


● 『♪Perfect』

この作品の歌詞はかなり原作から忠実に持ってきている言葉が多いと感じるんですけど、この歌の「Perfect」という言葉は原作に該当するものがありましたっけ…?読み返したら見つかるかもしれないけど、あんまり記憶になくて。あるならあるでいいんだけど、もしないとしたらすごいなあこんな言葉よく出てくるなあプロってすごいなあと思います。

この「Perfect」という言葉、「『君』と出会ってすべてがカラフルに色付いた状態」を指す言葉として使われている……と感じたんですけど、本来の言葉の持つ意味としてすべてを「満たした」ようなイメージや肯定的な響きもあるから、「その嘘は 私の前に 有馬公生君 君を連れて来てくれました」という言葉にぴったりなんですよね……かをりちゃんの人生にとって有馬公生君が唯一無二の最後のピースだったんだなって。有馬公生君と出会って、それですべてが満ちて、全部がカラフルに色付き始めて、世界が輝きだして、その状態をPerfectと言っているのかなと思うと、すごくわかる気がするし、その言葉以外にない気さえしてくる。けど原作に元々ある言葉だったらすみません。



● コンクールのシーン

コンクールの歌、ワンなにて言ってるのかわからなかったんだけど「One Note(一音)」かー!なるほど。
アンサンブルのみなさんそれぞれお似合いの正装で、歌や動きの迫力はもちろんのこと、目にも楽しいし衣装合わせとかも楽しそう…と思いました。井川絵見ちゃんのドレスのデコルテ?部分が水平じゃなくて斜めになってるのがめちゃくちゃ似合ってます。絵見ちゃんといえば、二幕だった気がするけど「あんたのせいよ有馬公生」の歌が最高ですね…あの歌、私も歌いたくなる。適度に短いのでCMソングみたいなキャッチーさがありますね。あと相座武士役のユーリック武蔵さんの声が好みだということに気が付きました。ユーリックさん、学園祭の時になんらかの着ぐるみみたいなのを着ていてとてもキュートでした。あれはなんの動物だったんだろう…相座武士なら絶対に着なそうなやつ……



あと、三池くん!!三池くんの描写はもう少しどうにかならなかったのかー!とは思った!!中村翼さんの演技はとても良くて、そもそも三池くんだってそこまで間違ったこと言ってないし(勝手に決めつけたのは良くないけど)、彼には彼なりの信念があってやってきてるというのが短い時間でとてもよく伝わってきました。でもなんか物語上の障壁として都合良く使われてしまったみたいな感じはちょっとあってー!!!原作だと、あのあと公生の演奏に打ち抜かれてさらに高みへのぼるし公生の隠れファンになるんですよね。あっでも私が見れてないだけで舞台でも後半はそういう感じで公生を見つめていたりするのかな??わかりやすい台詞か出番でのアフターフォローもちょこっとでいいからあったら嬉しかったです。彼もすごくいい子なんですよ……


● 『♪君がわからない』

かをりちゃんの手紙で「君は思ったより卑屈で意固地で…」みたいなことを言うのってこの辺でしたっけ?なんか木村さんの有馬公生が本当にその通りだったのでちょっと笑ってしまいました。
なんの時だったか忘れたけど公生が両手を前に突き出して「いやいやとんでもない」みたいに手を振る仕草が可愛かった。低い位置でのバイバイとかピースも控えめでかわいくて、肩より上に手をあげたことあるのかな?と思いました。(あるだろ)


ここの歌と振付はふたりも周りの世界も本当に可愛いので永遠に見ていたいです。Blu-rayでお願いします。


個人的にお気に入りなのが、ワッフルのメニューを見ながらかをりが「注文しよう」と言ったら公生が「あ、うん!」と店員さんに手を挙げて「すみません、お水を!」、でストップモーションに入ってかをりが「君がわからない」って歌い出すところ。
このくだり原作にもアニメにもないオリジナルのやりとりだと思うんですけど、高校生の公生めちゃくちゃ言いそうだわー言うわー「お水を!」って言うわーと思って。解釈の問題なので「公生はそんなこと言わない」という方もいると思うのですが、私はすごい言いそうだと思いました。
この台詞追加、このふたりのテンポのズレにおかしみがあって愛らしい、というのを端的にあらわしているなあと。公生を道化にせずとも、余計な小ネタみたいなのを追加せずとも、かをりを前にした公生のぶれないマイペースさみたいなものでクスッとできるよう成立させているというのがすごく素敵だなあと思って。このシーンのおかげで、今の公生は内向きだし自罰的になってしまってはいるけど、決して根暗な人間ではないというか、意外と鷹揚な部分があるなというのがわかってうまいなあと思うのです。脚本、ダイナミックだけど細かいところの補整はきちんとされているなあと感じる。


あと前回は生田さんのかをりちゃんがまんまだなー!と思ったけど、よくよく考えたら原作のかをちゃんは多分斜めに足組んで座ったりしないし、公生の肩に肘を乗せたりしないんですよ。多分。わかんないけど。でも、生田さんのかをりちゃんはそのちょこっとだけ横柄な感じで木村公生に絡んでいく姿がすごく魅力的に見えるんですよね。やっぱりこれは生田さんならではのかをりちゃんなんだなと感じて、ご本人の魅力と役とが溶け合っていいキャラクターが出来上がったんだなあと感動してしまいました。


● 『♪Speed of Sound 〜カラフルに輝きながら〜』

もしこれからこの作品が何度も再演されて、そこに木村さんが出てなくても、これ聞くためだけに見に行くみたいなとこあると思う。それに尽きる。無謀かもしれない新たな一歩を全肯定してくれる歌。それが青春であるなら、何歳になっても青春はできるんですよね。
私はジブリの『耳をすませば』のいろんな人々が歩いていくエンディングが好きなんですけど、この歌をはじめとしたアンサンブルのみなさんのパフォーマンスにもそれに近いものを感じます。みなさんのその存在感と生命力によって、「みんな生きてるんだよなあ」と、市井の人々にもひとつひとつドラマがあることを思い出させてくれる。なんとなく、自分も頑張らないとね、と元気をもらえるなあと思います。


● 伴奏が止まった時?の歌

今回上手側から見てたら、この歌を歌うかをりちゃんがずっと背中しか見えなくて。どんな表情なのかとか見たかったんですけど、全然動かないんですよ。ずっっっと、公生のほうを見て歌ってるんですね。演劇のお約束的には公生に向かって歌っているていで客席に向かって歌っても全然いいしよくあると思うんですけど、ここではあえて動かないことでかをりちゃんが本当にひたむきに公生に語りかけている様子を感じられて良かったです。


● 二幕最初の歌

これこれこれこれ〜!待ってた〜!!
前回その急な空気チェンジについてけなくて「待って待って」ってなったんですけど、今回はわかってたのにやっぱり「待って待って」って思いました。
しかし好きだ。これは国が不幸な未来へ向かっていくのを止められない非力な皇太子の苦悩の歌ですよね?わかります。
この歌の木村さんが高音に当てにいくところが最高に好きなんですよ。
この歌は無くても話は通じるけど、一部のオタク(私)が熱狂的に好きだからなきゃダメなやつ。再演でカットしたら怒る。


● 『♪映画みたいに(リプライズ)』

かをりちゃんが公生と出会う前のエピソードは全部省かれてしまっているけど、我が子がみんなと楽しそうにしている風景をご両親が「まるで映画のワンシーン」だと言うことに全てが込められているんですよね……こんなリプライズがあるのかって思った。お母さん役の未来さんとお父さん役の原さんの情感がこもっていて、温かく、悲しかったです。


● 『♪流れ星をつかまえよう』

SOSも、この歌も、明るくて前向きで疾走感があって最高ですよね……かをりちゃんが公生を引っ張ってくれてる……でもそのかをりちゃんをここまで引っ張ってくれたのは実は公生で……!
そんな2人の声のハーモニーを是非ご堪能ください……(誰?)
最後ジャンプするけど、原作未読の人はあれが橋から飛び降りてるんだってわからないのでは?と思いました。別にわからなくても支障ないけど、『♪ 時間よ、止まれ』でその話が出てきた時「そんなことあったっけ?」って思うんじゃないかなと。
シーンの終わり方としては最高ですよね…


● お母さんとさよならする歌

良すぎて何も言えないんだよな………
歌も上手いんだけど、ここで私の心を打っているのは単純な歌の上手さではなくてたぶん芝居の上手さで、そこから伝わる公生の心境、そして彼の音色の変化なんですよ……
かをりちゃんの演奏シーンは、周りの人や公生の歌や台詞が入っていたから「聴衆がどう感じたか」がわかったけど、この歌はそれがないので「歌で感じさせる」しかないんですよね。(→5/19追記:すみません、武士と絵見と三池くんが途中で感想を言ってくれてました!!本当にすみません!!)
「音がカラフルに染める」「水彩絵の具のような溶けてゆく模様」「有馬公生って こんなにさらけだす奏者だったか?」「ひどく身勝手で私的な演奏」
「でも──私達に大切な誰かを思わせる」


原作の聴衆たちが公生の音色に感じたものを、このミュージカルでは歌と音楽で感じさせなければいけない。幼い公生の無垢で眩い歌唱を受けて、公生の中のお母さんと向き合う心情を吐露すると共に、変化していく音色も表現できなければこのシーンは成立しない。木村さんはそれに日々挑んでいるんだなあと……私はファンだから前のめりであることないことなんでもかんでも受信するけど、観客の皆さんに心情も音色の変化も届けるというのは、本当に難しい挑戦だろうなあと思います。
届くかな、届くといいな、って本当に公生みたいだな……
え、これって映像に残らない可能性はあるんですか……?このまま消えちゃうの……?待って……Blu-rayにしてください……ほんとに……お願いします……


● 学園祭のシーン

みんながフランクフルトとか売ってるのに市販のタマゴサンド食べてる有馬公生、まじそういうとこだぞという感じで良いです。なんか渡にタマゴサンドについてやたら深掘りされて「あとで説明する」って切り上げてました。







ここでメモは途切れている────



見終わったあと、忘れないように単語をばーっとメモしておく癖があるんですけど、ここから先「裾にぎる裾ばさあ」しかなくて(あとで見た時「裾にぎる裾ばばあ」に空目した)、良いところや書き留めておきたいところが多すぎて完全にエネルギー切れした様子がうかがえます。推しさん、出ずっぱりだもんなあ…すごいなあ…「裾にぎる裾ばさあ」は妖怪の名前ではなくて、「木村公生は制服の裾のあたりをぎゅっと握る癖があるのに、最後、東日本コンクールでの演奏の前にピアノの前でタキシードの裾をバサァって捌いたのがめちゃかっこよかったな」の意です。かっこいいんよ…有馬公生は…………何か布をバサァさせたらかっこいいのよ木村さんは………



あとはメモしてなかったけど覚えてることをいくつか。


・前回の感想で黒いフレーム?みたいのが動くのがなんか好き、って書いたんですけど、今日見たらフレームというより2枚の黒い壁?幕?という感じで、開いたり閉じたり、開く時も斜め上に上がりながら開いたり?していて。
多分複数のシチュエーションで使ってると思うんですけど、何回か、「袖から舞台に出て行く」という場面で使ってるんですよね。
あー!!演奏者が袖幕の間を通り抜けて舞台に出て行く、あの瞬間を表現してるんだー!!と気がついたらすっごい素敵な演出に見えました。
コンクールの出場者だったり、それこそ舞台の俳優さんだったりが、スポットライトの当たる舞台へ、観客の前へ出て行くあの瞬間。その境界線としての袖幕。あれかあー!!!あの瞬間はね…いいよね…特別だよね……


・「出てほしい」と思ってるわけでは全くないんだけど(そもそも舞台化の予定もない)、唯月ふうかさんなら『推しの子』という漫画の2.5次元舞台編の有馬かなをめちゃくちゃうまく演じるだろうなと思いました。なんか椿ちゃん+ミサミサみたいな要素のある子なんです…


・木村公生、多分家のシーンだったと思うけどなんかのすきにスリッパさっと履いた?脱いだ?のカッコよかった


カヌレの袋、そんな難しい封の仕方じゃないのに(シールだけに見える)開けられない有馬公生可愛い


・だんだん弱々しくなっていくかをりちゃんをずっと「うう…」と思いながら見ています…


・この題材でせっかくオーケストラの生演奏なのに見えないところにいらっしゃるのがとってももったいないような気がする…!なにか演出上の事情があったのかなあ…


・『♪君が聞こえる』で公生がかをりを見つけて、表情がぱっと明るくなってそこからずっとかをりを見ながら歌ってたのがすごく良かったです。


サビの「愛してる」という言葉、多分原作では出てこなかったと思ってるんですけど……私は個人的に実写映画版の屋上で公生がかをりに直接告白した(原作ではそんなシーンはない)ことが納得できてなくて(それを伝えないところこそが有馬公生だと思っているので)(役者さんはみんなめちゃくちゃいいんです)、それと同じ感じで、CDで聴いた時はこの歌で「愛してる」という強い言葉が出てくることにも違和感があったんですよね。かをりちゃん本人に直接言っているわけではないのでそこはいいのですが。
でも、公生がピアノを弾きながらこれを歌っているのを見ていたら、いや、そうじゃん……相座武士が言ってたじゃん………と思って。 


「恥ずかしい奴だな」
「この演奏は告白だ」


もちろん、原作がそうであるように、直接的な言葉で言う必要はないんですよ。でも、あの伸びやかで苦しみから解放されたような声を聞いていたら、原作の武士が感じた印象とも、ここまでの舞台上の有馬公生の印象とも矛盾はないような気がしてきて……多分これは私が木村さんの歌声が好きすぎて絆されてしまってるんですけど……
だから原作を愛する方にこの改変を納得させられるかどうかは、公生次第なところもあるんだなと思って。
当然そういう歌詞、脚本になっている以上、原作がどうなのかということは俳優さんの意識すべき領分ではないのですが、単純に、そういうパターン(俳優さんのお芝居によって納得してしまう)もあるんだなあと思いました。それでも映画版と同じように公生が直接かをりに告白していたらそこはやっぱり受け入れられなかったと思いますが。
私には、この『♪君が聞こえる』は『♪僕にピアノが聞こえないなら』へのアンサーであるとともに、『四月は君の嘘』という作品のテーマのひとつを、遠くまで届くように大きく大きく描いた歌に聞こえました。
…ここまで書いててハッとしたんですけど、舞台版で「愛してる」の歌詞って残ってましたよね…?歌詞変わってたりする…?急に自信無くなってきた。CD版かけながら感想書いてたから記憶が上書きされてたりしたら本当に恥ずかしいな。まあいっか…
(5/18転記:書き忘れてしまったのですが、ミュの公生はお母さんの心情を「僕を愛してた」と解釈することでさよならしているので、彼自身がかをりちゃんに対してわきあがった気持ちを同じ言葉で表現するというのは語彙的にも心理的にも一貫性があるなと…恋愛感情を超えた愛おしさ?みたいな気持ちを言葉にしているのかなあと…)



・小関さんの有馬公生に早く会いたい。



・カテコ登場

・カテコ挨拶





以上


※ なお、楽曲・歌詞のスタッフクレジットは下記の通り。

原作 新川直司講談社月刊少年マガジン」)
脚本 坂口理子
作詞・作曲 フランク・ワイルドホーン
作詞 トレイシー・ミラー/カーリー・ロビン・グリーン
編曲 ジェイソン・ハウランド
訳詞・演出 上田一豪


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