王様の耳はロバの耳

言いたいけど言えないからここにうずめる

ミュージカル『プロデューサーズ』感想メモ(日程後半)


11/11&11/14の感想はこちら



プロデューサーズ見納めました。
好きだったところで覚えてるところをメモ。(多すぎて覚えきれない)
体裁がめちゃくちゃですみません。


カルメン

○ ロジャー邸
・「なんでスゥ⤴︎ーー(略)ーー」から「なんでスゥ⤴︎ーー(略)ーーーーー…ゥ゛ゥ゛」になってた!途中でひと笑い、最後にもうひと笑い&拍手が来てて進化してた
・レオの「オネェっぽく?」のあとカルメンがウィンクしてるの知らなかったー!あの音、「Exactly!」なピカーンだけじゃなくてカルメンウィンクのキラーン⭐︎でもあったんや
カルメンソロパートの歌い出しすごい優雅だった、声に艶を感じる
・そのあとロジャーと踊るところもエレガント
・ロッジャー・マウスとカルメン・ダックのところすごい好き、あれを見せられることで2人の「Keep It Gay」の精神が直接伝わってくる気がする(しかも普通より聞き取りにくくなること承知の上でかなりはっきり大きめに発音してるのが面白い)
・メンバー紹介のところできゃーって手を振ったりルーペを覗いたり指を鳴らしたり、美しくはしゃいでて好き
・とにとにとにとにとにーで振り返るところ、カルメン足から振り返る
・ロジャーのひらめきのとこ、ペンを出してさっと一回手を上に高くあげてから手帳に当ててて、そういう細かい「なくてもいい」動作の積み重ねでカルメンさんの良さが出来てるんだなーと思った
・同じくひらめき始まるところ、「あーん」の猫なで声すごいなぁ、カルメンさんほんと七色の声で楽しい
・敬礼してるところ可愛いが過ぎる
・タンタンキックたんのとこ結構すごい勢いで顔左右に振ってて可愛い
・ソファに上がって裏声コーラスしてるとこ、途中で「わぉ!」って入れることで盛り上がるし他のとこ見ててもカルメンの声に気付きやすくなった
・サインサインサインのとこ一番上でハモリに入ってる?
・「ロジャー・エリザベス・デ・ブリ」のとこの三段階胸反らし、思ってるよりめっちゃ反る
・レオに当たりが強い ブランケットに絡む 腕をはたく 突き飛ばす 楽しそう
・マックスにはわりと友好的 ファニーボーイがファビュラスなんだもんね(ロジャーが仲間に聞いてみるって言ったとこでマックスにちょっと強気な目配せするの好き)
・とにかくごきげんで最高


○ 一幕終わりの歌
・ロジャーと新聞に隠れて出てくるの可愛いよね…別に隠れなくてもいいのにね…
・おいでしたり肩揺らしたり扇情的である
・顎をぐいっと上げるカルメンさんほんと決まっててかっこいい
・他のシーンも含め、音楽に合わせて指クイっとしたり顎をぐいっと上にあげたり、指鳴らしたりウィンクしたり、キメ動作がキレイに決まるのがほんと好き、かっこいい(吉沢レオと木村カルメンはすごく音に当てにいく印象。好き!!)


○ オーディション
・「ターン」の発音がかっこいいんだよな…
・「静かに!」のあとンンッと咳払いが加わっていたことでカルメンの声だったとわかりやすくなってた!
・微かに響く「ひっひっひっひっ」というカルメンの引き笑い
・カードで顔を隠して笑うの可愛いんだけど、そのカードを普通に親指と人差し指で持つんじゃなくて中指を伸ばして人差し指と挟むようにして持ってるから指の長さと綺麗さが際立つ、それだけでかっこいいし色気が出るからすごいなーと。笑ってるけどぬかりない


○ 初日
・もうすべてが可愛いね……声はかっこいいしさあ……(好きなところが多すぎて容量オーバーしてる)
・狼がぶがぶ
・ロジャーとかレオの胸元めっちゃ叩く あれ前見たときはそんなやってなかった気がするんだけど、この行動すごく世話女房(この言葉はあれだけど…)っぽくてさらにキャラ立ってた
・最後のハモリめっちゃ綺麗じゃない??
・ロジャーに代役をやるよう説得するところ。最初のロジャー邸でロジャーが演出やらないって言ってるところからカルメンは「そうなの…?」みたいな顔してるし、やるってなったら嬉しそうで、オーディションでもロジャーつんつんしてこの人はダメよねって伝えたりとかして、カルメンはロジャーの意思決定に強く関わるけど強制はしない、というスタンスが見えてきてからの全身全霊の説得、ってところがグッとくるんですよねーーそれだけここがロジャーのターニングポイントって思ったってことでしょ…しかも大正解だったし……なんて愛の深いパートナーなんだー
そしてきちんと心の動きを提示してきてるからここがカルメンの物語の山場にちゃんとなってる、初めて気持ちのこもった長い文章を喋るけど唐突感がない
カルメンとロジャーってレオとマックスと同じくらいの歳かなあと思っちゃうんですよね だから2人にもあんな出会いがあったのかなーって カルメンがロジャーに「〇〇見ました!まだ半券持ってます!」みたいな…………かーらーのー紆余曲折あってのこのシーンかもとか思ってちょっと泣く
・ホクロとってきてのところ、なかなか行けずに「ひーっ、ひーっ」て高い声出してるの一瞬なんの音かわからなくておもしろ愛おしい なんならもっと長居してほしい



○ 撃たれそうになるところ
・ロジャーがカルメンを庇って前に出たのを見たカルメンの、絵に描いたようなキュン顔がすごい あんな表情が出ることがすごい
・そこからカルメンが前に出て庇うけど足ガクガクなのいじらしすぎるでしょ
・めっちゃ跳ぶ



○ カテコ
・みんなが捌ける時、半歩前に出て両手で「出て行け!」してから帰るようになってた。追い出し番長



○ 全般
・マエストロ塩田先生の配信番組で言ってた「つねに客席側の足を内側に入れている」(そして腰をキュッと入れる)をあらためて確認 すごいなぁ 人に見せるための立ち方だ。
・普段の猫背を絶対に出してはいけないという強い意志……!!
・腕を組む時や腰に手を当てる時の指がまた美しい



とにかく鏡の前でヒールを履いて歩きまくって研究したそうだけど、稽古序盤の立ち姿(1枚目)からあんなに変わるものなんだなあと…





あー書き切れない、
とにかくカルメンさんは美しくてかっこいい!
自信と誇りに満ちていて素敵。
木村さんが立ち姿や所作にとことんこだわってカルメンに宿したのって「美意識」や「品」だと思うんだけど、それって別に物語上必須ではないもので、だからこそ多くの個性の中からそれらを選んでくれてありがとうという気持ち……
そしてその上で笑いをとるために「間」という方法を取ったの、カルメンさん自身を貶めないし美学と矛盾しないからすごい。
塩田さんの配信で「カルメンとしてスタンプを押す」って表現をしてたけど(わかりやすい!)、一回カルメン定点観測してみたら大なり小なりスタンプガンガン押しまくってて、それを記憶に留めていく私、なんか太鼓の達人やってるみたいでした。好きだー!




● ロジャー

○ 劇中劇
・何度でも同じこと書くけど、劇中劇の吉野さんが大好き。
・ロジャー、とにかくチャーミング
・髪が乱れちゃうからわりと普通にイケメン風の髪型になってるんだけど、私はあの髪型に弱い。そして顔をパッと動かして目にかかった前髪をよける仕草に弱い。ので踊ってる時に一瞬それをやったロジャーを見てしまいキュンとしました(全然そんなシーンじゃないのに….)
・歌詞がむちゃくちゃすぎて全力の「はいるちょうだい」でどうしても笑ってしまう
・ロジャーの演じてる役が小さく見える。たぶん手足を一生懸命遠くまで伸ばして踊るから?風刺として効いてる。ロカビリージャックの悪魔さんと同じ人とは思えない。
・上でカルメンの美意識のこと書いたけど、この劇中劇とロジャーのパフォーマンスはロジャーの美意識に基づいていて、それ以上でもそれ以下でもなく、たとえ演者の吉野さんができることでもロジャー以上のものは出てこないんだなと。吉野さんのロジャーって明るく陽気だけどちょっと小心者なところがあって根が真面目な感じですよね…だからロジャーのここのパフォーマンスも奇をてらわない(これほんとすごいことだと思う)、一世一代ド直球の全力演技になってて、見ててほんとだんだん泣けてくるんですよ……(あまりにも思い入れが強い)
・ロジャーはあまり関係ないけど、鏡が出てくるところは普通に怖い。音楽もボレロの終盤みたいに感極まってるし……
東宝版『エリザベート』でも民衆があの形になってるシーンがあってそれを思い出すんだけど(『HASS』)、あちらの演出は二階席からは見えるけどわりと一階席からは見えにくい感じだなあと思っていて。民衆たちは自分たちがそうなっていることに気づいてないし、真ん中にいる皇太子ルドルフと皇帝フランツ(リープキンではない)も知らないし、同じ目線のお客さんも気付きにくいっていう。それって歴史的な何かが起きている時であったとしてもその真っ只中では気づかないみたいな演出なのかなと、、、
一方こちらはわざわざ鏡で見せてくれるんですよね。だから一階席でも見える。この鏡こそが風刺みたいだなあと。今こういうこと起きてるよーって客観的俯瞰的に映し出して観客(民衆)に見せるみたいな。あの風景、鏡に映ってると少し滑稽に見えるからそういうとこもそれっぽいなって。
ただそれはメタの話でロジャー的にはただ美しく見せたかっただけなんだろうなと思うんですけど、そっちはそっちでまじ美意識とプロパガンダが結びつくとやっぱ怖いなって思いましたね…普通にロジャーの熱演に心打たれてるとこあったから………それをわかって見るから皮肉になるんだけどさ……私は本当に“わかって”いるのか……??とかそんなことを考えさせる吉野さんの熱演でした(なんの話?)



● ウーラ

Brava!











・いやほんと……歌もダンスも綺麗で可愛くてかっこよくて、かたづけ?なにぃ?の言い方とかもうまくて可愛くて面白いのってどういうことなの?神様は木下さんに何物与えたの?ありがとうございます。
・ウーラが「うーうーうーわーわーわー」の動きやったところで可愛すぎて劇場が溶けた
・木下さんウーラと木村さんカルメンのキャスティング、お二人ともコメディは初めてだそうだしそれまでに似たような役をやったこともなかったから賭けみたいなとこもあったのでは…と思うんですけど、ほんと最高の結果になったのでは……キャスティングしてくださった方ありがとうございます……正統から離れたお二人の舞台度胸というか、思い切りの良さを知ることができて嬉しかったです。そして木村さんの去年の12/14のFCブログを思い返しました。思わぬ方向性での成長がすごい。拍手したい。







大野レオ
・大野さんのレオ、井上さんマックスがビンタされた時に抱きとめたり(吉沢さんもやってたかもしれないけど)、ことあるごとにマックスと目を合わせるからやっぱり弟分、相棒感が強い。あなたについて行きますよー!!感がわんちゃんみたいでとてもかわいい。だから最後に帽子かぶるところで本当に「よかったね…!!」って思って涙腺にきてしまう、真っ直ぐで目がキラキラで応援したくなるレオ。



吉沢レオ
・吉沢さんほんとむちゃくちゃ面白い。でも会計士としての台詞はちゃんとプロとして対等にマックスに話してる感じがあってそういうバランスが凄くいいなあと。
あと「世界を止めろ!僕は前に進むんだ!」みたいなフィクションバリバリの台詞をカッコよく言えるのが素敵。
私吉沢さんのキングダムでの人々を鼓舞するお芝居が本当に好きなので、言葉に力があるのを生で目撃できて最高でした。



ホールドミータッチミー
・「あの顔」の歌で出てくるところ、この作品で一番平和な笑いだなって思う。何度見ても好き、出るってわかってても面白い
・カテコで闘牛みたいに捌けた大野さんの代わりに闘牛で出ていらしたのが最高でした…なんておちゃめで素敵なの
・もしかしたらホールドさんじゃないかもしれないんですけど、裁判所でレオに「歌うまいね」って言ってるの好き



フランツリープキン
・毎回劇場が沸いててすごいなぁと…何度見ても笑っちゃう。
・観た日のオーディションシーンで、ロジャーとカルメンに「前からずっと思ってたんだけどな!お前ら普通に綺麗なんだよ!俺と付き合え!」って言ってた



マックス
・井上さんのすごいところは、歌とダンスとお芝居が完璧なミュージカル俳優の方であるにもかかわらずツッコミまでできるところなんだと知りました。この作品、井上さんがツッコミ能力を持ち合わせていなかったら成り立ってるイメージわかないです…そしてさらにさらにすごいのがツッコミが完全にアシストであるところで、「俺のツッコミが面白い」「拾えた俺がすごい」「俺のナイスフォロー」みたいな俺感がまっっっったく漂わないですよね……すごくないですか……おかげでレオとウーラとカルメンがどれだけ光り輝いたことか……(これはツッコミだけの話ではないのですが、井上さんの若い役者さんに対する「場の提供」によって拓けたミュージカル界の未来がたくさんあるんだろうと強く思いました。これまでもこれからも)あと大人組のボケツッコミ合戦も見応えがありました……
・でもやっぱり歌ですよね…裏切り者の時、自分が渦の中にいる感じがする。聴いてるんでも見てるんでもなくて体感してるんですよね 劇場のうねりを







・舞台上のみなさん、歌とダンスとお芝居が本業なのに、こんなに多くのお客さんを笑わせて本当にすごいなって思いました。なんて多芸多才なんだ……
・物語の最初の方で「ステップワン!」ってこれからのあらすじ提示してくれるの好き、わかりやすい。ステップにはない想定外のウーラが入ってきた時の「!?」(「パーパッ」)って音も映える
・逆に終わりの方でこれまでのあらすじを振り返ってくれるのも好き。とにかく親切な設計
・二幕で案内係の可知さんえりさんが懐中電灯を持って入ってくるのが好き。舞台上が客席と繋がる
・ラストシーンやおばあさまの国、会計事務所などとにかくシーンの画が強い
・最後に看板のネオンが点灯していくとこの音が素敵すぎて夢がありすぎて泣いちゃう






おしまい!






参考記事:【随時更新】木村達成さん出演作・今後の予定まとめ - 王様の耳はロバの耳
(色々盛り込みすぎたためページの読み込みに少し時間がかかります)













● 最後に木村さんについて
今年はリフ役で出演予定だった『ウエスト・サイド・ストーリー Season3』と初主演作品となるはずだったミュージカル『四月は君の嘘』が全公演中止となり、個人的にはとても残念な気持ちでいっぱいでした。
しかしその後、TOHO MUSICAL LAB.の『CALL』、『ラヴ・レターズ』(私は見られませんでしたが)、初主演となったストレートプレイ『銀河鉄道の夜2020』、そしてこの『プロデューサーズ』と出演されていく姿を見て、あらためて、木村さんのお芝居が好きだなあと実感することができました。
特に緊急事態宣言解除明けに『CALL』のヒダリメの柔らかなお芝居を見られたことはとても大きかった。そして銀河鉄道の夜のジョバンニ、あの身を切るようなお芝居は私の中でまだ終わってなくて、手をつけてはまとまらない感想の下書きがまだ残っている。
これはこのブログのAメロなので何度でも言うんですけど、私は歌ってない作品(ハイキュー)の木村さんのお芝居を見て沼に落ちたので、今年もっともっと歌声が聴きたかった!と思うのと同じくらい、やっぱり木村さんのお芝居が好きだー!!と思いました。

あと、あれですね…大樹的な存在に寄り添い立つ木村さんの演技の良さ みたいなものを再発見してしまいましたね……テニミュ海堂(→乾先輩)に始まり、ナルトの薬師カブト(→大蛇丸)(ちょっと性質が違うけど)、ハイキューの影山(→日向)、そしてカルメン(→ロジャー)の系譜。弱虫ペダルの今泉くんも近い感じがあるかな……どの役も好戦的で勝気な見た目だから無闇に人とつるんだりしなそうで「犬か猫かで言ったら」みたいなとこあるのに、大樹のような絶対的存在を見つけたときのその献身的な行動のギャップに驚かされるっていう。その驚きって木村さんの表情に端を発してて、「入れあげてる」時の顔がめちゃくちゃわかりやすくてすごいんですよね……(これは銀河鉄道のカムパネルラに対するジョバンニの顔でも思った)
なんかいいなあって思いました。

でもでもやっぱり来年は、できたらまたミュージカルに出演されている姿も見られたら嬉しいなあと……
このブログのBメロは「お芝居が好きで沼に落ちたのに歌を聴いたら歌声もめっちゃ好きだった」なので…
ちなみにブログのサビは「え?あの素敵な役者さん誰?え?木村達成さん??え??? めっちゃ推したい(推してる)」です。
舞台上の姿を見て、何度だって驚く。