先日、映画『君の名は。』を観たので、その感想をメモ。ネタバレなしです。
「新海誠」と「RADWIMPS」は、ある層には絶大な人気を誇るけども、一般的な知名度はそれほどではないという状態だったとの認識です。
その2つを掛け合わせて、
新奇性だけじゃ人は手を出せないから
「男女が入れ替わる物語」と「神木隆之介」という鉄板設定による親和性をぶらさげて
相変わらずの「長澤まさみの正しい使い方レクチャ」も忘れず
ついでに「上白石萌音」という才能もくっつけて大衆に売り出す。
それで興味を持たせて、結果みんなに面白いと思わせるってどんな能力なの?って思うんですけど、
この映画のプロデューサーである川村元気氏は26歳で企画した映画『電車男』(2005年)以降ずっと「マイナーぎりぎりにあるコンテンツを一気にどかんとメジャーに押し上げる」「ファン以外の人をその気にさせる」ということをやってるので、相変わらずすごいな、手練れだなと思います。
RADWIMPSが宇宙をキミにぐわんと結びつけてしまうように、新海誠が神をキミにそっと結びつけてしまうように、
川村元気氏が新海誠とRADWIMPSとわたしたちの2016年の夏を大量のテレビCMによるぜんぜんぜんせからぼくはーで結びつけてしまった。
これから先あの歌を聞いたらたぶん連鎖反応的に『君の名は。』、2016年夏、『ポケモンGO』、『シン・ゴジラ』、「庵野やめろ!俺より面白いものつくるんじゃねえ!!」が思い出されるんだろうなぁ。
これが「ヒット作を生む」ということか。
よく「時代を彩るヒット作」とかいうけど、狙ってヒットさせるのってほんとすごいよなぁ。
と、映画を観る前は感嘆とともに若干うがった見方をしてたんですけど、
実際見たらもう、もう・・・!
新海誠の描く世界のきらめきがまぶしくてスクリーンが直視できない。
RADWIMPSの歌が響き渡るその余韻を邪魔したくなくて息ができない。
神木くんと上白石さんの声が可愛すぎて身悶える。
死ぬかと思った。
「一生に一度のワープをここで使うよ」的な世界観が映画館という空間で完璧に再現されてた。
そんでまた川村氏によって引き合わされた2つのコンテンツが相互にプレゼンし合ってるというか、
新海誠はRADWIMPSの歌の聴き方を教えてくれているしRADWIMPSは新海誠の映像の見方を教えてくれている。
これこそ最高のプロモーションビデオ。
ヒット作に御託はいらない。
いいものはいい!!
大勢の人が同じものを見て、様々な感情を抱き、自分の中だけには抑えきれない衝動に駆られて、記憶や体験を共有していく。
まるで彗星を見た時のように。
時代の中で輝き大衆の視線を集めるもの。
大衆の共通体験であるからこそ、のちに「あの年はこんなだったね」って、誰かと語り合えるもの。
これがヒットするってことなんだなあ。
同じく川村元気氏の手掛けた今年公開の映画『何者』。
予告編で見たんですけど、同世代の憧れ或いはトラウマであろう朝井リョウと米津玄師に中田ヤスタカを掛け合わせるって、ほんと業が深い。