王様の耳はロバの耳

言いたいけど言えないからここにうずめる

ハイキュー!! コンサートに行ってきた(2017)

今週のジャンプ(第285話)を読みました。最高でした。
なんだか居ても立っても居られなくなったので思い切って書こうと思います。





ハイキューコンサート!!(※1)
すごくよかった!!!(※2)




※1:2017年2月26日開催分
※2:2018年1月15日に改めてこみあげてきた想い






こちらは、
2018年1月27日(土)【大阪】
2018年2月12日(祝・月)【東京】
にて開催される『ハイキュー!! コンサート 2018』に向けて、今更ながらも
「2017年版、すごくよかったです、ハイキューの、コンサート、すごく、よかった」
と独り言を言うだけの記事です。


内容のネタバレがありますので、まっさらな状態で2018年版に臨まれたい方はご遠慮いただければと思います。


なお一年寝かせた記憶による曖昧な感想ですので、誤りや勘違いが多くあることと思います、すみません。


それではよろしくお願いいたします。





● とにかく泣ける

いきなりですが2017年版について個人的にすごいと思った点がこちらになります。


○ 1. 開始5分で泣ける(※1)
○ 2. そこから5分おきくらいに泣ける(※1)
○ 3. 結果だいたい泣いてる(※1)
○ 4. BGMに興味ない人も泣けるんじゃないかと思う(※2)
○ 5. アニメ見てない人も泣けるんじゃないかと思う(※2)


※1:私が
※2:憶測


「は????泣くとか??それしかないの???泣けばいいってもんじゃないでしょ????邦画のCMかよ?????」
って思われるかもしれないんですけど、
「泣く」って実際「ほろっ…ぽろぽろっ………グスッ………」みたいなんじゃなくて、
「んんんんんんんんん及川徹んんんんんんんんんんんんんんんんんんnんn:;;k、」
みたいなやつです。
頭の中でばんばん机叩いて突っ伏したのちに顔を上げたら頬を静かに涙が伝ってるやつ。


終演後「はあ…………」しかなかったですからね。
翻弄されまくった。感情が。




● 構成が泣ける

まずは、「どのような公演だったのか」をご紹介させていただきたいと思います。
イメージ大事!


手っ取り早く、2018年版CMをどうぞ。
www.youtube.com



こんなかんじです!!わかりやすいね!!!!



2017年版は開演前に日向と影山による新録アナウンスがありました。
開演後は、ただひたすらにアニメ『ハイキュー!!』の劇伴(BGM)が演奏されるシンプルな構成です。


動画の通りステージ上にオーケストラの皆様がいて、バックにスクリーンがあって、演奏とともにアニメ『ハイキュー!!』の映像が上映されます。
基本的に映像側は無音、ただし要所要所で音声オンになります。
あのセリフとかあのセリフとかね……多分ずっと音声オンよりもズシンとくるんですよね……



さて私が何より感銘を受けたのは、出演者の方のお話が一切なかったという点です。
演奏者の方々も、指揮者の方も。作曲者の林ゆうきさん、橘麻美さんでさえ。
誰一人、一言も。


こんなことがあるのかと。
今回のようにサウンドトラックの楽曲を中心としたコンサートでは、大抵、作曲家さん等関係者の方が楽曲の誕生秘話や制作意図などをお話ししてくださる時間があったように思います。
なので、なんとなく今回もそのような感じだと思っていたのですが……



舞台上から発せられる言葉がねえ。


音楽しかねえ。









……つまり。





とにかく聴けってことです、音楽を。
























……と思ったんですけどきっとそれもちょっと違うんですよね!
そうならアニメの映像延々と流したりなんかしないんです。
それシャットアウトして目の前の音楽だけを堪能してってなるんです。
だからたぶん、この公演のスタンスのひとつは
「この音楽が盛り上げている『ハイキュー!!』を見て」
なんです。


なんたる矜持。
これこそ「劇伴音楽」そのものじゃないですか……!



でもね、映像見てると気づくんです。
ちゃんと曲にあわせて映像が編集されている。
曲側の持つ意味と“間”が尊重されている。
曲のタイトルが表示されている。
単体では意味を成さない、曲ありきの映像になっている。


やっぱりもうひとつのスタンスとして
「『ハイキュー!!』を盛り上げているこの音楽を聴いて」
というのがちゃんとあるんです。
どっちやねん!すみません。


とにかく「解説がなくても映像を見ていれば伝わる」感はかなり強いです。
理屈じゃねーなという。


約二時間半、合間の休憩以外ノンストップで演奏&上映が続きますが、本当に飽きる暇がありません。



「劇伴は、そのモチーフである映像と共にあってこそ最も輝く」

そのことがよくわかる構成だったと思います。



……やだ……「俺が居ればお前は最強だ」みたい……







● 映像が泣ける

「そんな音楽だけ延々とやられてもなあ……」と思う方もいらっしゃると思うんですが、
上記の通り、音楽と一緒にずっと映像が流れていて、これがちゃんと物語の順番に沿っているので、
「二時間半で振り返るこれまでのハイキュー!!
だといっても過言ではない気がしています。
本当に名場面が怒涛の如く押し寄せるので、目は足りないし感情が追い付かない。
特別音楽がどうこうとか意識しなくても、楽しい時間になるのではないかと思います。(憶測です)


ほらあれですよ……映像や音楽の力を借りてベストな彼らを脳に焼き付ける、HAIKYUU SUGEE DOUGA!! 的な。
大阪(東京)の舞台……沢山の観客の前で……数多の音色が渦巻く場所で……ピカッピカキラッキラのでっかいスクリーンで……
上映される推し 最高の推し 見ようや。






● 音楽が泣ける

なんといってもやっぱりこれです。
なんて言ったらいいかわからないので個人的に好きだったところ5選。


曲名をクリックするとレコチョクのページで試聴できますので、「どんな曲だったっけ」と思われた方はぜひ。


なお、こちらに2017年版のセットリストが掲載されていますのでご参考までに。
ていうかこの公式レポート素晴らしいな。この通りですほんと。


www.animatetimes.com





○ 1. 『頂の景色』~『ハイキュー!!
開演1曲目と2曲目なんですけど、「メインテーマにのせた登場人物の紹介映像」はもう何のジャンルでも泣くでしょ……。
楽曲『ハイキュー!!』は特に、その先で彼らを待っている物語がただの勝利だけじゃなく少し悲しかったり、悔しかったり切なかったりするにもかかわらず長調で明るい曲調ってところが余計に泣けてくるんですよね……
期待と希望がつまった4月を祝福するのにぴったりの曲で、彼ら彼女らの未来に幸あれと願ってしまいます。漫画(アニメ)なんだけどね!!!!



○ 2. 『神業速攻』&『超速攻
チェロとかバイオリンとかドラムとかピアノとかギターとかまじですごいから!!見て!!!!!
まじで「神業」だし「速く攻めてる」し「超速く攻めてる」から!!!
日向と影山の速攻を初めて見て驚く他校生の気持ちって多分こんな感じじゃないかなあ。
ここは本当に視聴覚的に強烈なインパクトがあって、これぞ生演奏の醍醐味という感じでした。
私が子供ならこれ見て楽器始めてた気がする。それくらいかっこいい。



○ 3. 『完全未知の司令塔』〜『チームの地力』〜『http://recochoku.jp/song/S1005919663/=決着
この推し曲だらけの流れは熱い。


『完全未知の司令塔』
タイトル通りインハイ予選青葉城西戦の菅原さんの曲で、流れる映像もその時のなんですけど、なんか軽やかで穏やかな、スタッカートからのスラーみたいなとこがほんとスガさんですよねっていう……これこの時の影山の音楽では絶対ないよねっていうのひしひしと感じますよね。絶対こんな跳ねないもん。
優しい曲調の中に音を切る「跳ね」と音をつなぐ「流れ」が同居していて、"烏野のもう一人のセッター"の完全なる強みがここに表れているようで尊い


『チームの地力』
この曲は伊達工戦でむちゃくちゃに素晴らしい使われ方をしているんですけど(こちらの記事参照)、実はタイトルから推察できる通りおそらく青葉城西戦をモチーフに作られてるんですよね。
コンサートではそこの空気の変化とこの曲の入りがぴったりで「あーー、そうだよなーーーー」と。やっぱり生で見ると金管のビジュアルも映えて眩しいです。


『決着』
私が無意識に及川さん推しになってるだけなのかもしれないんですけど、2017年のコンサートにおける及川徹というキャラクターの引力と遠心力めっちゃ大きくなかったですか。気のせいですか。
単純に青葉城西戦が2回あるからかなあ……いや、でもなあ……
この曲については過去に語り尽くしたんですけど(こちらの記事参照)、あらためて及川さんの背中にチェロの音色ってよく合うなあと思いました。
あとこの曲ってチェロ→バイオリン→ホルン→オーボエ→フルート→トランペット…みたいな感じで(楽器名は自信ない)明確にメインパートを交代しながらメロディラインを繋いでいくので、ベタなこと言いますけどほんとまさにバレーボールみたいなんですよね。同じフレーズでもチェロとバイオリンでアーティキュレーションというか音の切り方が違うのも示唆的に聞こえてくるなあとか。
キャラクターひとりひとり順々にスポットが当たるハイキューのストーリー運びにもとても近いなと思いました。



○ 4. 『月の出』&『月の輪
タイトルだけでわかりますね、ツッキーの曲です。
ハイキューには省エネキャラが何人かいますが、その中でも「たかが部活」と本気で思っているという点でツッキーはかなり異質なキャラだと思っています。
その異質性は音でも表現されていて、比較的生っぽい楽器の音が多いハイキューの劇伴の中にあって、ツッキーの曲はかなり目立つ形で電子音が使われています。
人工的な音、(聞く人によっては)感情の薄い音、そういった響きが「本能より理性」なツッキーにぴったりで、特に『月の出』は半端な入り・けだるいリズム・ぐるぐるフレーズと最高にツッキーなんです。内山昂輝さんの声の覇気のなさ(の演技)との相乗効果でどんどんテンションが下がってくっていう。最高に良い。
コンサートだとそれが演奏姿やホールでの響きにもあらわれてくるので、余計に他とは違う感じがします。


ただこれ熱いのは、『月の出』ってたとえば東京合宿の「(木兎さんのスパイクを)止めなくてもいいんですか」とかまさに月の出的なタイミングでかかってて、コンサートも多分そのあたりの映像だったと思うんですが、アニメの3期ではあのシーンでもかかってたんですよね。
白鳥沢戦の、「相手セッターに ブロックを欺いてやったという快感も 達成感も与えてはならない」のところ。
そしたらすごいんです、「半端な入り・けだるいリズム・ぐるぐるフレーズ」が、「ツッキーのもやもやした内的心象風景」だけじゃなくて、「いつの間にか白布さんが陥っていたツッキーの罠」を表す曲になってたんです。かの異質性が「ツッキーの葛藤」から「ツッキーの武器」になってるっていうね、すごいね。


そしてその異質性を最高の形で継承、昇華しているのが『月の輪』です。
ツッキーのガッツポーズとともに入ってくるこの曲は、「半端な入り・けだるいリズム・ぐるぐるフレーズ」の全てを一旦失って、その電子音だけがハイキューらしい音の世界に飛び込んでいます。むしろさらに感情的というか、いっそJ-POP的な気さえする。
アレグレットの四拍子と迎え入れるような伴奏の上で、自律的に動き回る電子音にほんとグッときますね……電子音なんだけど、いきいきしている。
明らかに何かが動き始めたというのが最初の数小節だけではっきりわかる、キャラクターの造形にまで踏み込んだ劇伴です。
ツッキーの「その瞬間」までの物語は本当に20巻近くかけて糸のように細く長く、丁寧に紡がれていたと思うのですが、そのスタンスがきちんと音楽でも受け継がれていることになんだか感動してしまいました。



○ 5. 『コンセプトの戦い
コンサート本編最後の曲です。(このあとクレジットとイマジネーションアレンジ、アンコールでメインテーマがきます)
白鳥沢戦クライマックスの映像が流れるんですけど、試合結果知ってるのに本気で手に汗握りました。
「これ白鳥沢勝つんじゃねーの!?」みたいな。
この曲や前述『決着』はメインテーマ『ハイキュー!!』のアレンジ曲なんですが、このメロデイラインが流れてくると「どっちも負けないで」って気持ちになってくるから不思議です。それこそ両者に幸あれと思ってしまうんですよね。ましてやさっき、この結末を知らない頃の彼らの映像で登場人物紹介見ちゃってるから。どっちにも肩入れしちゃう。


あとこの曲、コンサートでは確か烏養さんの「バレーは常に上を向くスポーツだ」から入ったと思うんですが、
劇伴の話からは少しそれるんですけど、この言葉って、個人的には、第一話から繰り返しここぞという時に使われるとか、あるいは逆に漫画自体の最終回直前のクライマックス中のクライマックスまで出し惜しみするとかしてもいいくらいの渾身の台詞であり定義だと思うんですよね。
それを(白鳥沢戦のクライマックスとはいえ)漫画の途中も途中で出してくるのほんとすごいなーと。
この先これを超えるような発破があるってことなの……古舘先生の言葉の組立て能力どうなってるの……
と、漫画でのタイミングに慄いたものの、コンサートでこの台詞を聴けた時は、ああ、ここだったんだ、このタイミングだったんだと思いました。ほんとうに。



● 未来を想像して泣ける

今回は5選に限定してみましたが、アニメ『ハイキュー!!』のサウンドトラックには、全部でおよそ120ほどの作品が収録されています。
すべて『ハイキュー!!』という物語のため、『ハイキュー!!』の彼ら彼女らのためだけに作られた楽曲です。
2017年のコンサートでは、その中から38曲が演奏されました。
大好きだった曲が、映像と共に奥行きを持ってホール中に広がっていくのを体感したり、残念ながら聴けなかった曲があったり、生で聴いて初めて良さに気づいた曲があったり。
なんて贅沢で濃密な時間だったんだろうと思います。


コンサート中、なんとなく古舘先生の巻末コメントが頭の中に浮かんでいました。

「“文字”を持っている漫画に、音楽もあれば最強なのにな!と、よく思います」
(18巻 巻末コメントより)

この言葉に照らすなら、アニメは逆に文字を持っていないけれど、アニメ『ハイキュー!!』には持てる武器として最高の音楽がついているんじゃないかなあと、個人的には思っています。



ところで話めっちゃ戻りますけど、
今週のジャンプ(第285話)を読んだんです。最高でした。


それで私ひとつ気になってることがあるんです。
ミックス派の方もいらっしゃると思うので詳しくは書きませんが、
あのへん、音楽どうなるんだろうって。


なにぶん一人、「劇伴音楽」というものの対極に行こうとしているキャラがいるんですよね。
第285話のサブタイトルに顕著にあらわれてるんですけど。
はたして、あのサブタイトルを冠する劇伴って、作れるんだろうか。




いまの彼の背景に、音楽は必要とされるんだろうか。





……と、そんなことを考えていたらこのコンサートの素晴らしさを思い出したのでした。
非常に気になるので、アニメ4期5期、そしてコンサートが2019年、2020年とぜひ続きますようにとの願いを込めて。
まずはコンサート2018、楽しみですね!


www.j-haikyu.com