王様の耳はロバの耳

言いたいけど言えないからここにうずめる

ハイステ再演全景で思わず巻き戻したシーンメモ

先日、DVD「ハイパープロジェクション演劇『ハイキュー!!』 Documentary of “頂の景色”」が発売されました。



ドキュメンタリーDVDに特典がついてきたと思ったら舞台本編(以下、「寄り」)で、もう一個特典ついてきたと思ったら舞台本編の全景映像(以下、「全景」)って何言ってるかわからないけど最高なDVDとなっております。


全景のほうを見終えたので、思わず巻き戻してまで見直してしまったシーンメモ。寄りはまだ比較程度にしか見れてないです。


全部書いたら長くなりすぎるのでベスト3にしてみたんですけど、OPは私の中で3万回くらい殿堂入りしてるので省略。
1位のシーンにライビュや配信で気づかなかった私の目は!!!!まじで!!!ふしあなか!!!!!




第3位 OP前「なんで居る!!?」

ライビュで見たときは、初演と立ち位置逆になったなーなんでだろなーくらいにしか思ってなかった。
でも全景で見ると、位置から照明から徹底して影山の顔を見せないように演出されていることがわかりますね。寄りだと影山の顔も見えるんですけど、ここはきっと「観客は影山の表情を知ることができない」が正しい状態なんだろうな。
その演出意図はわかりませんが、こうなったことによりむしろ影山のもう一人の主人公感が増してるのすごく面白い。初演は運命の二人が出会った(日向に影山が準じている)、って感じだけど、再演は日向が運命の相手に出会った(影山が日向に準じていない、ここで影山の物語は語られていない)、って感じ。
あと初演って「日向も影山も観客側を向いて立ってるけど劇中の二人は向かい合っている」というものすごい演劇らしいお約束を使ってるんですけど、再演は実際に二人が向かい合ってて、うわっ、これが本来の形じゃんっていきなり頭殴られたような気づきを得ました。



第2位 青葉城西戦Starting orderの月島

ポーズに至るまでの動きがめっちゃかわいい。月島らしからぬキュピーン感。
ガチャみたいなデフォルメが気持ちよくてつい巻き戻して見ちゃう。何度でも見れる。ここだけgifにしたい。



第1位 青葉城西戦「今!!!ココだろ!!!」

もともと初演から、「スパイクを打った日向の着地とともに後ろに立つ光の当たらない不敵な影山の姿が現れる」というめっちゃかっこいい演出で好きなシーンではありましたが、再演ではさらに磨きがかかってて興奮しました。


まず影山のトスなんですけど、初演ではボールの動きを表現する照明の煽りだけだったんですよね。ここに再演から追加された緑レーザーがすごい効果的ですよね。。チカッくらいなんですけど、まじ閃光ライオット。わたし以前のエントリーで「日向の速さや高さはもっと表現できるはずやで」的な偉そうなこと書いてたんですけど、このレーザーは変人速攻の速さ、もっというと超常的なことが起こるという予感や非日常性をすごい演劇的に表現してるので気づいてなかったわたしは穴があったら入りたい。



そしてそのあとに続くシーン。私、今更気づいたんです……!!影山の上げたトスを打つために跳ぼうと羽ばたく日向の後ろで、影山も全く同じ羽ばたきのモーションをしていたということに……!!!
こんな大事なモーションを!!!見落として!!!なにが「ハイステ感想メモ」か!!!


色々解釈のしようがあると思いますが、私はこれをどストレートに影山の気持ちも一緒に飛んでいるということであると理解しました。さらにすごいのは、影山は日向の方を全く見てない。日向は顔を上げてるんですけど、影山は下を向いて、羽ばたくモーションだけをやってる。これが……シンクロ………!!!日向にトスを上げた影山が、光の当たらない場所で、日向と同じ羽ばたくモーションやってるって、ほんとこれ以上ない抽象表現じゃないですか…!!!これ見た時「影山飛雄は飛ばないのに飛雄って名前なのこういうことかよ!!!」って思いました。日向翔陽、影山飛雄、日向を翔ばせて影で飛ぶ、そういうことかよって!!!体が名を表している……!
もしくは、舞台上の印象だけをダイレクトに言うなら、「日向の影となって、飛ぶ」。影には顔がないから、彼は下を向いているのかもしれない。





ちょっと思い込み強すぎな面ありますけど、もしかしたら見映えだけの問題だったかもしれないけど、とりあえずこれが影山飛雄をテーマにした創作ダンスだったら百点満点つけてる。身体で表現するって、本当に難しいことなんですよね。
初演だと単純に手を前に構えて屈んで待機してるだけなんですけど、その言ってみれば完全に単なる「余白」でしかなかったところへ、これだけの情緒が書き込まれていたことにめちゃくちゃ感動している。



で、個人的にこれのおかげで付随して綺麗に腑に落ちたのが、町内会戦「思わない!!」のあとの日向と影山が踊るシーンです。演劇的な表現とわかっていても、あそこで同じ動作で2人で踊るのちょっとだけ違和感あったんですけど、これもなんていうかあの羽ばたくモーションの延長線上にある気持ちのシンクロなのかよ……っ!ってなった。ついでに2人が手を離したあと、初演では余韻に浸るように2人向かい合って頷きあってたところを、再演ではお互いのことは見向きもせず、はっと我に返ったように日向は手を上に、影山は手を下に見つめたままぐっと噛み締めるふうに変更したことで、感傷的な面だけでなくリアルにスパイカーとセッター2人の個人がそれぞれ手応えを感じたっていうシーンになっててそこもすごく良かった。




いやでもほんとあの羽ばたきに気づけただけでもこのDVD買ってよかった……



せっかくなのでここで本編ドキュメンタリーの木村さんのあの言葉を振り返ってみましょう。


「影山飛雄です。舞台上で羽ばたいてきます。羽ばたくのは僕じゃないけど。滑走路を作ります、日向に」




この言葉の全てが、あのモーションに詰まってた。





とりあえず声を大にして言いたいのは、

全景映像って、素晴らしいですね。



以上